厚生労働省と東京、大阪など6労働局が、今年に入り労働者派遣法違反で報道発表した許可取り消しや事業廃止などの行政処分の総計(3月31日現在)は、368社に上った。このうち、届け出制の特定派遣元事業主は363社、許可制の一般派遣元事業主は5社で、大半は2013年度の事業報告に派遣先比率の報告義務があるにもかかわらず、報告を怠ったもの。提出要請にも応じなかったという。
労働者派遣法は現行法となる先の改正(平成24年法)で、グループ企業への派遣比率を8割以内に規制する規定が盛り込まれているが、処分を受けた大半の派遣会社が規定の報告義務を順守しなかった。
このほか、報道発表による社名公表には至らないものの、全国の労働局はさまざまなケースで文書指導を含む指導監督を実施している。①派遣元事業主、②派遣先、③請負事業者、④発注者――に対する文書指導の合計は、12年度が8764件、13年度が8176件で、厚労省は近く14年度の指導監督実施件数をまとめ、違反の特徴や内訳など公表する見通しだ。
この文書指導を含む指導件数の最新集計については、3月26日の労働政策審議会労働力需給制度部会で始まった「現行の労働者派遣法(平成24年法)に関連する見直し」の議論で、部会委員から「検証のために必要」との意見が挙がった。
【関連記事】
「雇用仲介事業の検討会」設置を決定、近く有識者で初会合
「24年法」見直し議論も開始、労政審需給制度部会(3月26日)