厚生労働省が27日発表した2013年度「労働者派遣事業報告書」(7万4622事業所、前年度比1.0%減)によると、派遣労働者数は約252万人(同2.6%増)、派遣先件数は約82万件(同7.3%増)、売上高は約5兆1042億円(同2.7%減)となった=グラフ。派遣労働者数は微増したが、売上高は5年連続で減少した。
派遣労働者数の内訳は一般派遣の常時雇用が約52.3万人(同2.4%減)、登録者数が約171.6万人(同5.2%増)、特定派遣の常時雇用が約27.6万人(同2.8%減)となった。
派遣料金(8時間換算)は一般が平均1万7017円(同0.5%減)、特定が平均2万3678円(同0.2%増)。派遣労働者の賃金(8時間換算)も各1万1688円(同0.0%)、1万5492円(同1.0%増)と横ばいとなった。
売上高は約5兆1042億円(同2.7%減)で、一般が3兆5906億円(同3.4%減)、特定が1兆5135億円(同1.0%減)。
派遣労働者数は08年度の約399万人、売上高も同年度の7兆7892億円がピーク。同年秋のリーマン・ショックに伴う景気後退による正社員を含む雇用者数の減少や、翌年度からの同省の「専門26業務派遣適正化プラン」などにより、09年度から派遣市場は大幅縮小が続いたが、減少幅が横ばいになり、雇用全体の回復基調がうかがえる。
昨年6月時点の派遣労働者、1.4%減の126万人
一方、厚労省が同日発表した14年6月1日時点の「労働者派遣事業状況」によると、派遣労働者は約126万人(前年比1.4%減)となった。
全体を通して映し出される直近の集計は、景気回復で就労機会が確実に増えているものの、派遣労働者は08年に比べて大幅に減少していることと、事業としての売上高もピーク時には到底及んでいないことが分かった。
今国会に提出された労働者派遣法改正案をめぐっては、就労機会が増えているという視点より、「今後、派遣という働き方が増えるか増えないか」との問題提起が一部にある。しかし、どこの時点を基準に増減を見ていくかという冷静な議論は深まっていない状況にある。