厚生労働省と東京、静岡など5労働局が、今年2月18日から3月19日までの約1カ月間に労働者派遣法違反で報道発表した行政処分の総計は、123社にのぼることが分かった。このうち、届け出制の特定派遣元事業主は121社、許可制の一般派遣元事業主は2社。年度内の3月末までに、許可取り消しや事業廃止、事業停止命令、事業改善命令など、新たな行政処分の発表もあるとみられる。
この1カ月間で行政処分を発表したのは、厚労省と東京、静岡、岐阜、長野、宮城の5労働局。建設といった禁止業務への派遣による違反や、特定で届け出ていながら一般と同様の派遣事業を行っていた違反など、処分内容はさまざまだが、いずれにしても特定派遣元事業主の件数が際立っている。
こうした現状を打開するため、政府が国会に提出した労働者派遣法改正案には「届け出制の廃止による許可制の一本化」などが盛り込まれている。一般の許可基準は、現行法でも届け出制と比べて資産(資本金や預貯金)をはじめとする要件が厳しく、改正案が成立して施行されれば、事業者の許可要件は雇用安定措置や派遣社員のキャリアアップのために必要な環境整備の義務化など、さらにハードルが高くなる。
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