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2015年3月12日

「多様な社員」の活用法とは  労働政策フォーラムで活発議論

 労働政策研究・研修機構は12日、東京・有楽町で労働政策フォーラム「多様な社員の活用を企業の成長力に」を開いた。労働力人口の減少に伴い、会社員の就労形態も多様化しているが、企業はどう活用して成果を上げるかを考えるのが狙い。

 日本総合研究所の山田久・チーフエコノミストが「労働力減少時代への雇用システム改革」と題して基調講演したのに続き、イオンリテールの石塚幸男・取締役専務執行役員、クレディセゾンの武田雅子・取締役(戦略人事部、CS推進室管掌)、日本アイ・ビー・エムの平林正樹・人事、労務次長の3人が、各社の先進的な取り組み事例を紹介した。

 山田氏は、労働力減少の流れは今後も続くと予想し、戦後の男性正社員を中心にした長時間、在社型労働システムは制度疲労をきたしていると指摘。今後は、「職務型スキル労働者」の育成を通じて、「就社型偏重システム」から「就職・就社併用型システム」への転換が付加価値向上に不可欠だと強調した。

n150312.jpg 石塚氏は、パータイマーが80%にも達する巨大流通グループの社員活用では、正社員とパートの区別をなくして、基本的に資格登用に基づく能力制を採用。武田氏は、短時間勤務の限定正社員の多い同社の特性を踏まえて、総合職至上主義ではない「自律型社員」の育成を推進。平林氏は、社員の管理は人事部門ではなく、ラインによる人事管理を中心に、在宅勤務を通じて効率を上げていることを強調した。

 後半のパネルディスカッション=写真=は今野浩一郎・学習院大学教授の司会で、多様化する人材の能力、将来性などをどう評価するかといった、実務的なやり取りが交わされた。各社とも独自の活用方法を実施しているものの、グローバル化や多様化などによって評価の「見える化」を図る必要性では意見が一致した。

 

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