第3次内閣を発足させた安倍晋三首相は、年明け1月下旬に第189回通常国会を召集(会期150日間)する。2014年度補正予算案と15年度新年度予算案の審議は3月末前後まで行われる見通しで、予算外の労働者派遣法改正案などの審議は早くても4月以降となる公算。そのため、今年の通常国会と今秋の臨時国会に政府が提出した改正案の中身のうち、施行期日については「15年4月1日」を改め、「9月末までの出来るだけ早い時期」に繰り下げ、閣議決定を経て国会に再々提出する見込みだ。
新たな施行期日は、現在、与党である自民・公明の実務者議員および厚生労働省を中心に検討に入っている模様だが、現行法のいわゆる「平成24年改正」に盛り込まれた「労働契約申し込みみなし制度」が施行される来年10月1日より出来るだけ早く施行にこぎ着けたい意向だ。法改正による経過措置期間は設けられる見通しなものの、公的に現行の「26業務」が存在したままだと現場の混乱を招く可能性が高いことが、主な理由のひとつに挙げられる。
また、「みなし雇用制度」は、派遣先と派遣元の違法派遣に対する「認識」がポイントとなる罰則的な制度だけに、「全国一律で、明快かつ分かりやすい判断基準」(ガイドライン)が不可欠。厚労省は、来春をメドにこれを作成し、公式な手順で公表・周知していきたい方針だ。
再々提出の法案内容をめぐっては、先の臨時国会で浮上した“幻”の「公明党修正案骨子(未定稿)」の取り扱いも焦点となっているが、これも政府・与党で鋭意協議を進めている。施行期日の変更のほか、法案に一部与党修正が入る場合があったとしても、その了承を得るための労働政策審議会は開かれない見通しで、政治レベルでの判断、決着となる方向だ。
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