テンプホールディングスの水田正道社長は19日、社会的インフラとしての人材サービスを基軸に、「利用者数、雇用者数で国内ナンバー1を目指す」と明言した。同日の9月中間決算発表の席上で述べた。具体的には、人材紹介やメディア事業における「利用者数」、派遣事業などでの「雇用者数」で国内トップを狙う方針を示したものだ。
同社は今年度、初めてとなる「中期経営計画(3カ年)」に着手しており、組織の効率化や積極的なM&A、海外戦略の活発化などを柱に、17年3月期には連結売上高5000億円、同営業利益300億円を目標に掲げている。スタートから半年の動きについて、水田社長は「上々の滑り出しと言える」と強調した。
また、来年以降に見込まれる労働者派遣法の改正に伴う無期雇用化の流れに関する対応について、水田社長は「雇用責任の観点からも進めていくことになる」とし、理由として①派遣社員の雇用安定は弊社の存在意義で、事業価値のど真ん中に位置する、②競争社会なので無期雇用にかかわるリスクを並べても、同業他社が踏み切れば自ずとやらざるを得ない――の2つの側面を挙げた。
そのうえで、「潜在的な雇用責任は年々増していくが、顕在化してくるのは改正法案が通過して数年後と推測している。働く人の選択肢もあり、全部が無期雇用とはならないが、次の仕事をスムーズに提供できるようさらなる質の高い情報(求人)量が不可欠となる」と分析、展望した。
9月中間は2ケタの増収増益
テンプホールディングスがこのほど発表した9月連結中間決算によると、売上高は1922億7300万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は102億3400万円(同36.3%増)、経常利益は104億2400万円(同40.2%増)、中間利益は57億3000万円(同62.8%増)と大幅な増収増益となった。中間決算としては売り上げ、利益とも過去最高。積極的なM&Aとともに、主力の人材派遣の需要が旺盛だったほか、人材紹介など全事業部門で増収となった。
同社は7日、中間、通期とも業績予想を上方修正しており、通期見通しは3965億円(前期比9.4%増)、営業利益230億円(同23.7%増)、当期純利益134億円(同35.9%増)を予想している。また、配当は1株あたり中間が14円、期末が14円の計28円の変更はしない。