7日に開かれる衆院厚生労働委員会に安倍晋三首相が出席し、今国会で「重要広範議案」に指定された労働者派遣法改正案について質疑を行う。6日、断続的に開かれた同委員会の理事懇談会で、与党側が日程を伝えた。同委員会は5日の実質審議入りの際と同じく、渡辺博道委員長の職権で開かれる。首相出席の質疑は採決の前提となるもので、政府・与党は来週中に委員会採決や本会議採決にこぎ着け、参院に送付したい意向だ。
この日の理事懇談会は3回にわたって行われ、与党側の考える日程に対し、野党が「拙速すぎる」などと反発。さらに、5日の質疑で挙がった「3年を超えて企業が派遣社員を受け入れる場合に過半数労働組合などから意見聴取した際、反対意見が出た時の手続きや対応」について、塩崎恭久厚労相の答弁が不明瞭だったとして「やり直し」を要求した。
一方、維新と民主、みんな、生活の4党は6日、同じ仕事であれば正規も非正規も同じ賃金を得られる「同一労働・同一賃金推進法案」を提出し、派遣法改正案と合わせて審議することを求めた。この考え方については10月28日の衆院本会議や5日の厚労委でも取り上げられ、安倍首相や塩崎厚労相は「職務に対する賃金体系が普及しておらず、能力や責任、配置転換の範囲などの要素によって賃金が決定される職能給が一般的である日本の労働市場において、すぐさま同一労働・同一賃金や均等待遇の仕組みを導入するには乗り越えるべき課題がある」との認識を示し、「まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが適切」と答弁している。
後半国会に入り、“対決法案”として与野党の攻防が激化しており、「法案通過」対「廃案」といった国会特有の「技術的なせめぎ合い」が際立っている。重要なのは法案内容全体を通した本格的な審議であり、賛成、基本的に賛成、反対のそれぞれの視点から質の高い深みのある議論が期待されている。