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2014年10月28日

派遣法改正案、審議入り 衆院本会議で与野党8会派が質問  厚労委で本格論戦へ

 政府提出の労働者派遣法改正案が、28日の衆院本会議で審議入りした。塩崎恭久厚労相の趣旨説明に続き、与野党8会派の代表が登壇してそれぞれの視点から質問、政府の見解をただした。実質審議を付託された衆院厚生労働委員会において政府は、あす29日に法案の趣旨および提案理由の説明を行い、週末には本格論議を始めたい意向だ。

 各派代表質問は、事前に議会運営委員会で決まった順番と持ち時間で行われ、自民の松本文明、民主の菊田真紀子、維新の柿沢未途、公明の中野洋昌、次世代の宮沢隆仁、みんなの中島克仁、共産の高橋千鶴子、生活の玉城デニーの各議員の順に、改正法案の狙いや「働き方」に関する政府の基本的な考えと姿勢などをたずねた。

 採決の際に行われる賛成討論、反対討論とは異なるため、共産を除く7会派は「賛成」や「反対」を明言しなかったが、自公で与党多数を占める中、野党では次世代などが法案に理解を示したほか、維新などは方向性を認めたうえで「同一労働・同一賃金の原則」を提起した。民主と共産、生活は各党の考えに立ち、改正内容の問題点を厳しく指摘した。

 質疑全体を通した特徴として、野党の大半は冒頭に先週辞任した2閣僚らの問題と安倍首相の任命責任などを追及。中でも、民主は質問(約15分)のうち半分を閣僚の資質の問題に割いた。派遣法案の関係では、与野党ともに日本の職能給制度のあり方や課題に踏み込む場面が見られた。

 安倍首相と塩崎厚労相の主な答弁を整理すると、「同一労働・同一賃金の導入。および、均等待遇を担保すべき」との指摘については、「職務に対する賃金体系が普及しておらず、能力や責任、配置転換の範囲などの要素によって賃金が決定される職能給が一般的である日本の労働市場においては、すぐさま同一労働・同一賃金や均等待遇の仕組みを導入するには乗り越えるべき課題がある」との認識を示し、「まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが適切」と理解を求めた。

 また、正社員を希望する人と派遣社員を希望する人への対応に関しては、「派遣就業を積極的に選択している人には待遇の改善を図り、正社員を希望する人にはその道が開かれるようにすることが重要」と述べたうえで、「改正法案において派遣元と派遣先の双方において派遣労働者のキャリアアップの支援や均衡待遇を強化する措置をとる」と答弁。加えて、「育児などで仕事から離れていた人たちが職場復帰のステップとして派遣を選択する場合を含め、安心して働くことができる環境整備に努める」と強調した。


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