政府は17日、女性の活躍を広げる狙いで管理職の割合などに限定的ながらも数値目標や公表を義務付ける「女性の職業生活における活躍の推進に関する法案」(女性活躍推進法案)を閣議決定した。一両日中に開会中の臨時国会に提出し、会期内の成立を目指す。
労働政策審議会の建議を経て策定された法案だが、国会での審議の場は厚生労働委員会ではなく内閣委員会となる。厚労省令で「事業主行動計画策定指針」を定めることとし、行動計画には計画期間、達成目標、取り組み内容、実施時期などを盛り込み、達成目標については「定量的に定めなければならない」として数値目標の設定を義務化した。ただし、対象は従業員301人以上の企業に限定し、300人以下の中小企業は努力義務にとどめた。
採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率の4つを「必須項目」とし、教育訓練や登用状況などを「任意項目」としているが、「必須項目」についても企業側の一律設定ではなく、各社の取り組み状況によって“選択”でき、選択項目のみの目標値設定とすることになっている。
政府が6月に閣議決定した「日本再興戦略」では、「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」と明確な数値目標を掲げ、安倍政権の目玉政策のひとつ。しかし、その裏付けとなるはずの法案では、数値目標を設定する項目は企業の自主的選択に任されたうえ、中小企業に対しては義務化を事実上見送った格好だ。
先進企業ではすでに自主的取り組みを進めており、女性管理職の登用などで遅れている企業との「差」がどこまで縮小するかは未知数。法案だけで企業全体の“底上げ”が図れるのか、国会審議や施行後の実効性に注視が必要だ。