NPO法人、人材派遣・請負会社のためのサポートセンター(高見修理事長)が主催する2014年「第4回派遣・請負問題勉強会」(アドバンスニュース協賛)が14日、東京・両国で開かれた。今年最後の第4回勉強会には満席となる約330人が参加。労働者派遣法をはじめとする労働法制の変革や、働き方の新たなキーワードとその視点などについて、専門家2人の講師が解説した=写真上。
この日は、企業の実務向け労働法の第一人者である石嵜(いしざき)信憲弁護士が「労働法制の改正最新動向と企業実務への影響」と題して講演。中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)の佐藤博樹教授は「ダイバーシティマネジメントとWLB支援・女性活躍支援:働き方改革が鍵」をテーマに講演した。
石嵜氏=写真中=は労働者派遣法、労働契約法、障害者雇用促進法、パートタイム労働法、男女雇用機会均等法など、一連の労働関連法の最近の改正点について企業実務の視点から解説。労働契約法の「無期転換(5年)ルール」、派遣法改正案の期間制限(上限3年)などの正しい解釈を説明した。
派遣法改正案については、派遣スタッフのキャリア支援が義務化されることなどから、「派遣元にはかなりの負担になるだろう」と予想し、「偽装請負」の温床になると批判されていた「業務処理請負」の正しい運用を目指して見直しを進めるべきだ、との持論を展開した。
佐藤氏は=写真下=は、現代企業にとってダイバーシティー(人材の多様性)のマネジメントが必要な理由を説明。主に女性の活躍の下地になるワーク・ライフ・バランス(WLB)の支援はダイバーシティー・マネジメントに含まれること。そのためには、従来と基本的に異なる「時間制約」を前提にした仕事管理・働き方への移行がカギになることを指摘。
そのうえで、「長く働くことで成果が出る時代ではない」として、WLBの両立支援制度より、現在の長時間労働を前提とした業務管理の改革が重要であることを強調した。
同サポートセンターは、人材サービス業界に携わる企業と管理者に対して、人事・労務管理を中心とする経営相談や教育支援活動を展開。特に、法令順守に関わる意識改革や人事・労務の知識・スキル向上のための支援活動を通じ、派遣・請負企業の経営安定と従業員の生活向上を目的に、講演やシンポジウムなどを参加無料で企画、運営。昨年度から労働法制分野を中心とするネット報道媒体のアドバンスニュースが協賛している。
また、好評を得ている「年度ごとの活動報告(記録集)の冊子」は、今年度も年4回の講演概要に加えて、労働者派遣法の改正、再改正の経過や役立つ資料を盛り込んで発行する。