第187臨時国会で初めてとなる衆院厚生労働委員会が10日開かれ、塩崎恭久厚労相をはじめとする政務三役が所信を表明した。大臣所信で塩崎厚労相は厚生労働省が所管する当面の諸課題に対する基本姿勢と方針を示し、このうち臨時国会に提出した労働者派遣法改正案について、改正内容の要所と目的を説明した。
今臨時国会における衆院厚労委の構成は、定員45人中、自民が委員長を含めて28人、民主5人、維新4人、公明3人、次世代2人、みんな1人、共産1人、無所属1人となっており、生活や社民などは先の国会に続いて所属議員がいない。
塩崎厚労相は厚労行政全体の姿勢として「自助、自立を第一に、公助と共助を組み合わせ、弱い人の立場の人にはしっかりと援助の手を差しのべるという基本的な考えのもと、認知症施策、がん対策、児童虐待防止や児童養護、障害者施策などにさらに力を入れる」と強調した。
また、労働分野については「持続的な経済成長のためには女性や高齢者が働きやすく、意欲と能力のある若者が将来に希望が持てる環境をつくるとともに、投資の促進や人材力の強化などを通じた労働生産性の向上を図ることが重要」との認識に立ち、「改訂日本再興戦略に基づき、働き方改革や失業なき労働移動の実現、女性や若者などの活躍推進に取り組む」と述べた。
加えて、自身を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を厚労省内に設置したことを改めて報告し、「過労死防止対策推進法の施行も含め、省を挙げて長時間労働の削減に取り組み、そのうえで時間ではなく成果で評価される新たな労働時間制度の創設など、労働時間法制の見直しや年次有給休暇の取得促進策の検討に入る」との方向性を明確にした。
失業なき労働移動の実現については、労働市場全体としてのマッチング機能の強化や、産業ニーズを踏まえた職業訓練の推進、主体的なキャリア形成支援、新たな職業能力評価制度の構築など、職業能力開発施策のあり方に関する検討を進めるとした。
派遣法改正案に関しては「派遣労働者の希望をかなえ、処遇の改善や正社員転換を進めるなど保護と雇用の安定を図るため、すべての事業者を許可制とするとともに、働く人に着目したより分かりやすい期間制限に見直す。さらに、派遣労働者のキャリア形成を支援すること、均衡処遇を確保することなどが主な内容だ」と説明した。
このほか、外国人技能実習制度の見直しについて、管理監督体制の抜本的強化に関する件等を各省庁と連携して進める考えを強調した。
この後、主に労働、子育て支援、年金の分野を担当する山本香苗副大臣と、主に医療、福祉、介護の分野を担当する永岡桂子副大臣、橋本岳政務官と高階恵美子政務官が、それぞれ抱負を述べ委員各位に協力を求めた。
週明けには参院厚労委でも同様の所信表明が行われる。
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