政府は臨時国会を召集した29日、期間制限など規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案を閣議決定した。同日中に衆院に提出する見通し。1985年の派遣法制定以来、幾度もの改正を経てきたが、期間制限のなかった政令26業務を撤廃するなど、成立すれば抜本的な改正となる。
同改正案は、先の通常国会に提出されていたものの、法案の条文に形式的な誤記が見つかり、その取り扱いをめぐって野党が一斉に反発。最終的に、政府・与党は法案を審議未了でいったん「廃案」とし、当該部分を修正して新たな法案として仕切り直す方策を選択した。このため、事実上の“継続審議”とも、誤記修正はしているが「再提出」とも言える格好となっている。
また、先の国会で全野党が一致して反発したのは「誤記の処理方法」であり、同改正案の内容そのものに全野党が「反対」という構図ではない。いわゆる与野党激突の完全な「対決法案」という表現が適切かどうか、野党第2党の維新や次世代、みんな、保守系無所属議員などの動きも見極める必要がありそうだ。
改正法案の柱は、(1)行政の指導・監督時における裁量行政の主要因との指摘が挙がっていた「政令26業務の完全撤廃」、(2)業務単位による期間制限を個人単位(上限3年)とする「業務から人への見直し」、(3)すべての労働者派遣事業を許可制とする「特定派遣事業の廃止」――の3点。抜本改正だけに、主要な項目は施行から3年の経過措置や軽減措置などが図られる。
このほか、派遣労働者に対する派遣元の雇用安定措置や、キャリアアップのために必要な環境整備を義務化するなど、従来までの改正のたびに使われた「規制の緩和か強化か」といった単純な色分けを超えた内容となっている。
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