連合の古賀伸明会長=写真=は19日、安倍晋三首相が政府と経済界、労働団体の代表を集めた「政労使会議」を近く再開すると決めたことについて、「昨年の会議で固まった4つのパートのフォローに向けて再開は必要。(3日前に)政府から事務局に要請があったと聞いており、参加する」と明言した。東京都内の連合本部で開かれた記者会見で、アドバンスニュースの質問に答えた。
自民・公明に政権交代した後、初の「政労使会議」となった昨年9月から12月の会議(全5回)に関して古賀会長は、「昨年の政労使のまとめは賃金アップ、中小企業や小規模事業所のこれからのあり方、非正規労働者の問題、生産性と能力開発の問題の4つのパートで網羅されている」と強調。「これらのフォローやチェックが重要で政労使会議は継続すべきだ」と、これまでの主張を繰り返すとともに参加の意義を説いた。
一方で、「今回は前回の経緯を含め、さらにどういう議題で、あるいはプライオリティー(優先順位)をつけて論議するのか。双方の事務局で詰めていくので動向を注視したい」と、慎重な姿勢ものぞかせた。
政府は16日に内閣改造後初となる経済財政諮問会議で「政労使会議」の再開を決め、年功序列型賃金の見直しや有給休暇の取得促進など労働法制の改革を目指す方針を確認。安倍首相が「経済の好循環は続いている。それを拡大していくため政労使の共通認識を醸成していくことが重要」との狙いで、「政労使会議」の再開に意欲を見せていた。
また、29日召集の臨時国会に政府が提出を目指している「女性活躍推進法(仮称)」に関し、これまで2回の労働政策審議会で使用者側が数値目標などに難色を示していることについて、古賀会長は「連合は2013年に第4次男女共同推進計画を策定して数値目標を定めた基本的な考えを主体的に持ち議論に参加している」と指摘。そのうえで、「経営側はこの問題に限らず数値目標や法律でのしばりを嫌がり、今回もそのひとつで数値目標に過敏に反応しているのではないか」と述べた。
このほか、連合は「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現キャンペーン」の一環として、「労働者保護ルール改悪阻止『全国縦断アピールリレー』街宣行動」を9月25日からスタートする。労働者派遣法改正案の臨時国会での再提出や、新たな労働時間制度の創設などに反対する活動で、東日本ルートは北海道から、西日本ルートは沖縄から開始し、各都道府県をめぐり、最終の12月5日に両ルートのゴールイベントとして「全国統一集会」を日比谷野外音楽堂で開催する。
【関連記事】
数値目標の設定で労使が対立
女性の活躍推進、均等分科会(9月11日)
女性活躍推進新法は均等法とは別
労政審の第146回均等分科会(8月26日)
「成果型」など労働時間法制の審議開始
労働者側は強く反発、労働条件分科会(9月10日)
15年度の労働政策重点事項を確認、労政審
派遣法案の臨時国会「再提出」で労使双方がけん制(8月29日)
政府の労働時間規制見直し提起に「待った」
連合の緊急シンポジウム(8月1日)