厚生科学審議会の第4回指定難病検討委員会(千葉勉委員長)は27日、医療費助成の対象になる指定難病候補110疾病を指定した。従来から対象になっている潰瘍性大腸炎など64疾病(56疾病を細分化)に原発性側索硬化症など46の類縁疾患などを新たに加えた。
前回は113疾病を候補にしたが、薬害によるスモンや長期療法の不要な2疾病を除くことにした。また、一部疾病については厚生労働省研究班などの診断基準に基づき、重症度分類も見直して客観性を持たせた。
これを受けて厚労省は患者団体などからのパブリックコメントを募集し、10月上旬に第5回委員会を開いて最終決定し、上部審の疾病対策部会に報告、正式決定の運びだ。
今回の指定分は来年1月から医療費助成の対象になるが、厚労省は残る200疾病弱について10月以降に同委員会で審議し、同様なプロセスを経て来年夏以降の助成実施を目指す。
また、この日は、福祉サービスの対象疾病を見直す「障害者総合支援法対象疾病検討会」(座長、中村耕三・国立障害者リハビリテーションセンター総長)も初会合を開いた。昨年4月の支援法改正により、とりあえず難治性疾患克服研究事業の130疾病を対象に暫定スタートしたが、指定難病の見直しに伴い、福祉サービスの対象疾病も指定難病に合わせて見直すもの。
この日は当事者団体の代表からヒアリングを行い、伊藤たてお・日本難病・疾病団体協議会代表理事と小林信秋・難病のこども支援全国ネットワーク会長の2人が意見を述べた。
伊藤氏は、福祉サービスの対象は治療研究が必要な指定難病に限らず、「難病」の定義に入るすべての疾病を対象にするなど、柔軟で幅広い対応を求めた。小林氏は、小児慢性特定疾病がサービスの対象になることで、難病と対象がズレるトランジション問題の解決への一つの方策になる、と期待感をにじませた。