参院厚生労働委員会は20日、有期で通算5年超の労働者が無期転換できる労働契約法の例外を盛り込んだ「有期雇用の特別措置法案」について、継続審議とした。実質的に政府主導で起案されたものだったが、今国会では衆院通過どまりとなった格好だ。
同法案の骨子は、労働契約法の「無期転換ルール(5年ルール)」が適用される有期労働者のうち、(1)一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術または経験を有する人(上限10年)、(2)定年後に同一の事業主、この事業主と一体となって高齢者の雇用の機会を確保する事業主に引き続いて雇用される高齢者――に限って例外とするもの。
「無期転換ルール」は昨年4月に施行された改正労働契約法の規定で、同一職場で5年以上働いている有期契約社員(パート、契約などの非正規社員)が無期契約への転換を申し出れば、企業側は拒否できない。しかし、同法案によって政府は、「高い能力の活用と維持向上を図ることができる」などとしている。
実質的な経緯を見ると、昨秋の臨時国会で、政府の主導で「国家戦略特別区域法」と「改正研究開発力強化法」が成立したのを受けて労働政策審議会が審議したという流れで、今後、時代に適応した労働法制の「構築過程のあり方」はいかにあるべきかといった論点を含め、国会での審議が注目されていた。