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2014年6月13日

大内、川口両教授が「雇用と派遣」解説  第2回サポートセンター勉強会

n140613_1.jpg NPO法人「人材派遣・請負会社のためのサポートセンター」(高見修理事長)は13日、東京・JALシティ田町で2014年度「第2回派遣・請負問題勉強会」(アドバンスニュース協賛)を開き、約300人が参加した=写真上。今回は「これからの雇用社会と労働者派遣という働き方」と題して、神戸大学大学院法学研究科の大内伸哉教授と一橋大学大学院経済学研究科の川口大司教授の2人が講演。大内氏は法学者、川口氏は経済学者の立場から、日本の雇用問題と派遣制度について解説した。

n140613_2.jpg 大内氏=写真中=は07年のパート労働法の改正など、現在まで続く一連の労働関連法の改正が非正規労働者をターゲットにしたものだったが、第2次安倍政権になってからは「正社員改革」にホコ先が変わってきたこと。労働者派遣法については、「派遣制度に対する評価が乱高下し、それが法改正に結び付くという珍しい制度」と指摘した。

 さらに、伝統的な「直接雇用重視主義」がまだ色濃く残っているものの、日本の雇用は非正規社員からスタートせざるを得ない若年労働者が増える「正社員縮減時代」に入っており、「派遣は転職力を支える重要なシステムであり、派遣会社は労働者のキャリア形成の担い手になることが社会的使命だ」と期待感を強調した。

n140613_3.jpg 川口氏=写真下=は、バブル崩壊後の1990年代以降、TFP(全要素生産性)成長率の鈍化と若年層で非正規労働者の増加が顕著に進行。日本企業を支えてきた長期雇用、年功賃金、企業別労組の日本型雇用慣行が長期衰退している点を挙げた。

 一方で、「正社員制度」には一定の経済合理性があり、非正規社員の正社員転換規制は「歴史の歯車を逆回転させるに等しい」と述べた。今後の業界に対する規制としては、常用代替防止の観点は支持されず、派遣・請負労働者の存在を正面から認めた規制の必要性を強調した。

 次回の第3回勉強会は7月22日、慶応大学大学院の鶴光太郎教授、トヨタ自動車渉外部の荻野勝彦主査を講師に迎える予定。
 

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