日本人材紹介事業協会は10日、東京都港区で2014年度総会を開き、佐々木和行会長(トランサーチインターナショナル会長)の後任に渡部昭彦・ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス社長=写真・上=を選任した。また、副会長を従来の2人から3人体制に増やし、高橋広敏・インテリジェンス社長、水谷智之・リクルートキャリア社長、藤井太一・ACR代表取締役を選んだ。4期8年に渡って会長を務めた佐々木氏は名誉会長に就任した。
総会後の懇親会で渡部新会長は、全国から集まった会員会社の代表や厚生労働省幹部を前に、「人材協は会員のための組織であるという立脚点を大切に、皆さんと一緒に活動していきたい。また、先人の培った良き伝統は守りつつも、過去にとらわれず、新しい発想で環境に対応していくことを自らの肝に銘じて進んでいきたい」と就任の抱負を披露した。
そのうえで、「人材協の会員は大企業や中小などいろいろな立ち位置のある会社が集まっているが、事業を通じて人材の価値、企業価値を高めることにより日本に活力を生む。そうした礎(いしずえ)となる価値観は共有していると感じているので、大きな方向性は一緒だと確信している」と力を込めた。
総会では、人材サービス産業協議会(JHR)の活動への積極参加や「優良職業紹介事業者推奨事業」制度への対応、会員企業への情報発信の充実などを、本年度の柱に掲げた=写真・下。
また、総会時に恒例となっている特別講演では、日本総合研究所の山田久調査部長(チーフエコノミスト)が「人材協に期待すること~今後の日本経済と労働市場の動向~」と題して講演。山田氏は、アベノミクス効果で日本経済が回復期にある今こそ、成長が見込まれる産業への構造転換を図るべきであり、人材協には(1)事業構造の転換に伴って生じる失業なき労働移動の支援、(2)プロフェッショナル労働市場の創出、(3)主婦、シニアなど未活用労働力の活用支援――の3点を通じて潜在成長力の引き上げに寄与すべきだと指摘した。