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2014年6月 3日

派遣法改正案、「審議入りの有無」が焦点  終盤国会、厚労関係法案で未着手は派遣法のみ

 第186通常国会は、会期末まで残り20日を切った。第2次安倍晋三内閣は当初任命した同じ閣僚で政権日数500日を超えるという戦後初の記録を継続中で、その安定ぶりを反映するように今国会は序盤から概ね与党ペースだ。そうした中、厚生労働省関係の不正入札問題や法案関係の形式的ミスなどが野党にとって唯一の“攻撃・反撃材料”といった情勢。3日現在、厚労関係の政府提出法案で唯一未着手の労働者派遣法改正案の「審議入りの有無」が焦点となっている。

 「会期延長なし」を前提とすると、派遣法改正案の今国会での「成立」は極めて困難であり、秋の臨時国会へ継続審議となる公算だ。ただし、衆院厚生労働委員会の与党理事は「審議入り」を完全に諦めたわけではなく、「何とか審議入りにこぎ着けたい」との構え。野党は絶対反対か慎重審議を鋭く迫るのが役割だが、逆に、提出法案を一本でも多く、少しでも前へ進めることは政権を担う政府・与党の責務だ。

 こうした背景を踏まえ、今国会に提出された11本の法案の3日現在の進ちょく状況を整理すると、11本中6本が成立、4本が審議中、1本が未着手。過去の通常国会と比べても、比較的スムーズに進めていると言える。具体的には、成立した法律は(1)改正雇用保険法、(2)改正次世代育成対策支援推進法、(3)改正パートタイム労働法(改正パート法)、(4)難病法、(5)改正児童福祉法、(6)改正医薬基盤研究所法――の6本。

 審議中の4本は、(7)介護保険法改正案(医療法改正案、地域介護施設整備促進法改正案など19本)、(8)労働安全衛生法改正案(安衛法)、(9)有期雇用の特別措置法案、(10)国民年金法改正案――の4本。(7)は厚労省が用意し各議員に配布した趣旨説明関連資料の中に、別の法案文が3行挿入されていた問題で足踏みしたが、現在、参院厚労委で審議中だ。(8)の安衛法は、効率的な審議と議会運営の観点から参院先議の手法をとり、4月9日に参院を通過し、衆院に送られている。(9)は5月28日から衆院厚労委で審議入り。(10)は衆院を通過し、5月29日から参院厚労委で審議入りした。

 未着手の状態で残っているのは、(11)派遣法改正案のみ。法案の誤記問題の処理をどのように帰着させるかも含め、会期末まで衆院厚労委で残り(原則)6回の定例開催日がある中で「審議入りの有無」が注視される。

 

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