製造派遣・請負事業の業界団体である日本生産技能労務協会(JSLA、清水竜一会長)は21日、都内で定時総会と会員交流会を開いた。本年度の活動の柱に、製造系人材サービス業界におけるキャリア開発の整備・強化や、正式に発足した「物流部会」の活動促進と会員拡充、有益で迅速な会員向けの情報配信の持続と充実などを掲げた。
キャリア開発の整備・強化に関する具体的活動の中で特筆されるのは、厚生労働省の委託事業である「業界検定スタートアップ支援事業」だ。これは、ジョブ型労働市場の拡大に対応した円滑な転職支援、多様な働き方の実現支援の必要性を背景に、業界共通の「ものさし」の整備に加え、「多元的で安心できる働き方」の導入促進に向けて業界検定の能力評価の仕組みを整備。職業能力の「見える化」を目的に、本年度は分析と開発、来年度の開始の準備や検証などを行う。
委託事業ではこのほか、10年度から協議会を設置して本格始動している製造請負優良適正事業者認定制度の適切な運営とともに、審査認定機関として適正・公正に認定できる環境の維持に努める方針だ。
また、前年度から総務統制委員会が中心となって準備してきた「物流部会」の活動促進に力を入れる。物流人材サービス関連で働く労働者の就業の安定、労働環境の改善、能力開発の推進を図り、社会的責任を果たして産業の発展を目指すもので、外部への発信と会員拡充に動く。第一弾の活動として今夏をメドにセミナーを開催する。
この日の会員交流会=写真=では、安西愈弁護士が「改正労働者派遣法の諸問題への対応」と題して講演したほか、4月に厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部企画課に新設された「民間人材サービス推進室」の佐々木菜々子室長が登壇。同推進室のミッションや製造請負の認定制度の位置付けと狙い、今秋にも実施予定の優良派遣事業者認定制度に期待することなどを説明し、良質な人材サービス事業者の育成と官民挙げた「外部労働市場全体のマッチング機能の最大化」に協力を呼び掛けた。
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