21日午前の参院本会議で、厚生労働省が用意し各議員に配布した介護保険法改正案(医療法改正案、地域介護施設整備促進法改正案など19法案)の趣旨説明関連資料に誤記が見つかり、「前代未聞」と糾弾する野党の反発で流会となった。このため、予定されていた2法案の審議入りと難病法案など7法案の採決が23日以降に延期。また、22日の参院厚生労働委員会の開催も見送られることが決まり、政府・与党が今国会での成立を目指す労働者派遣法改正案の会期内成立は極めて困難な情勢となった。
厚労省が所管する法案をめぐっては、派遣法改正案でも4月下旬に条文に誤記が見つかり、正誤表で収めたいとする政府と、再提出を迫る野党との間で折り合いが着いていない状況。そこに今回のミスが重なり、野党の批判を待つまでもなく、田村憲久厚労相も「単純ミスを繰り返していること自体が許されない」と、所管官庁の緊張感の欠如にいら立ちを隠さない。
11本の政府提出法案を抱える厚生労働委員会で政府・与党は、労働安全衛生法改正案を参院先議とするなど、窮屈な審議日程を見越してスムーズな法案成立を進めてきたが、事務方の「単純ミス」などで終盤国会の“審議戦略”に狂いが生じた格好だ。与党の衆院厚生労働委員会の理事のひとりは同日、残る国民年金法等改正案、有期雇用の特別措置法案、労働安全衛生法改正案の可決(安衛法は衆院で成立)に全力を注ぐ姿勢を見せる一方、派遣法改正案については「今国会で何とか審議入りだけでもしたい」とトーンダウン。これに加え、国会周辺では会期延長はないとの見方が支配的で、継続審議がほぼ確実となった。
秋の臨時国会の前半で成立した場合は、法案に記されている来年4月施行の脈は残るが、それ以降となると施行期日の繰り下げも考えられる。
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