連合主催の第85回メーデーが26日、全国各地で開かれ、東京・代々木公園で開かれた中央大会=写真上=には、主催者発表で約4万人が参加した。「働くことを軸とする安心社会の実現」などを掲げた恒例の「メーデー宣言」に加え、今年は政府が進める労働者派遣法改正や労働時間制度の見直しなどを指して「労働者保護ルールの改悪に断固反対する特別決議」も採択した。
連合は今年のメーデーに、支持政党の民主党だけでなく幅広く招待。安倍晋三首相=写真中=のほか与野党9政党の代表らが顔をそろえた。自民党の現職首相の出席は2001年の小泉純一郎氏以来13年ぶり。
連合の古賀伸明会長=写真下=はあいさつの冒頭、「例年、メーデーは働く人の祭典だが、今年は労働者保護ルールの改悪にストップをかける運動の一環と位置づけている」とけん制。「生活を営むための最低限のルールに『岩盤規制』とレッテルを貼り、働く人の犠牲の上に成長戦略を描くことは許せない」と強調した。そのうえで、働いた時間ではなく成果によって報酬が決まる「労働時間制度」の見直しや、労働者派遣法の改正など、連合が反対する政府の個別の労働・雇用政策を挙げた。
これに対し、安倍首相は「『三本の矢』の政策によって確実にデフレから脱却しつつある。デフレ脱却の目的を達成するのに、与党も野党もないし、労働者も経営者も、生産者も消費者もない」と呼び掛けた。さらに、「今後とも働く皆さんが景気回復の実感を手に入れることができるよう全力を尽くす」と述べたほか、「2020年には指導的な立場に立つ女性の割合がおよそ3割となる社会を実現し、子育てをしながら働くことができることを可能にするため、政策を総動員する」と力を込めた。昨年に続き、田村憲久厚労相もあいさつに立った。
出席した政党が多いこともあり、民主党など9党は主催者から各2分以内でのあいさつを求められた。民主党の海江田万里代表は安倍首相と田村厚労相が退席した後だったが、「安倍政権は、企業が世界で一番活動しやすい国にしたいようだが、働く人たちの犠牲による見せかけのデフレ克服は長続きしない。低賃金を拡大させる労働者派遣法の改悪と、残業代ゼロで労働者を働かせる新たな『労働時間制度』の導入には、はっきりと反対していく」と強調した。
他の政党からは、野党再編による「結集」を相互に呼び掛ける場面が見られた。
5月1日には、全労連や全労協がメーデーの中央大会を開く。