NPO法人「人材派遣・請負会社のためのサポートセンター」(高見修理事長)は15日、東京・第一ホテル両国で2014年度「第1回派遣・請負問題勉強会」(アドバンスニュース協賛)を開いた。規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法の改正案が国会に提出されていることもあり、会場には300人を超える参加者が詰めかけた=写真・上。
勉強会のテーマは「労働者派遣法再改正の動きと人材サービスの今後を考える」で、この日は法政大学大学院政策創造研究科客員教授の戸苅利和氏が「労働市場の変化と民間人材サービスの役割・課題」、リクルートワークス研究所長の大久保幸夫氏が「派遣法再改正後~キャリア・アップ問題にどう取り組むのか」と題して講演した。
大久保氏=写真・中=は、今回の改正法案が派遣元や派遣先に対して、派遣労働者のキャリアアップ支援を義務化している点について、(1)キャリアアップ支援が「良い派遣会社」の条件になった、(2)国もキャリアアップ助成金や教育訓練給付金の拡充などを通じて力を入れている、(3)人材ビジネス業界は、安定的で、報酬の高い、やりがいのある仕事をマッチングする紹介・代行機能を強化する必要があり、それは業界が社会に評価される基本ミッション――と解説した。
また、限定正社員(ジョブ型正社員)の法的整理による拡大など、政府の基本方針が派遣業界の事業内容にリンクする部分があるほか、景気拡大で人手不足が本格化していることを踏まえ、働く人の賃金アップに向けた派遣料金の交渉に追い風が吹いていることを指摘した。
元厚生労働事務次官でもある戸苅氏=写真・下=は、日本が人口減少と高齢化のピークを迎え、働き方も多様化している事実を踏まえ、人材サービス産業は迅速で的確なマッチングの実現やキャリアアップ支援を行うことが社会的評価の向上につながる点を強調した。
第2回勉強会は6月13日、神戸大大学院の大内伸哉教授、一橋大大学院の川口大司教授を講師に、改正派遣法を労働法と経済学の観点から学ぶ予定だ。
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