政府は11日、期間制限など規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案を閣議決定し、国会に提出した。1985年の派遣法制定以来、幾度もの改正を経てきたが、期間制限のなかった政令26業務を撤廃するなど大幅な改正。今国会で成立すれば来年4月の施行となるが、一部を除く野党の反発は根強く、かつ厚生労働関係の他の法案が立て込んでいるため、政府・与党の国会運営が注目される。
改正法案の柱は、(1)行政の指導・監督時における裁量行政の主要因との指摘が挙がっていた「政令26業務の完全撤廃」、(2)業務単位による期間制限を個人単位(上限3年)とする「業務から人への見直し」、(3)すべての労働者派遣事業を許可制とする「特定と一般の区分の撤廃」――の3点。
また、派遣先の期間制限として、同一業務で同じ労働者を3年を超えて受け入れてはならず、かつ、同一業務で別の労働者を受け入れる場合の手続きとしては、過半数労働組合などから必ず意見聴取して対応することを定めた。
このほか、派遣労働者に対する派遣元の雇用安定措置や、キャリアアップのために必要な環境整備を義務化するなど、従来までの改正のたびに使われた「規制の緩和か強化か」といった単純な色分けを超えた内容となっている。
政府は今国会での成立を目指しているが、派遣法改正案を含め厚労関係だけで11本の法案を予定しているうえ、3月に入って浮上した厚労省の不正入札疑惑の影響もあり、審議日程に余裕がない状況だ。
【関連記事】
労政審、派遣法の改正案要綱を「概ね妥当」と答申
3月中旬に閣議決定、国会提出へ(2月28日)