内閣府経済社会総合研究所(ESRI)、労働政策研究・研修機構(JILPT)、経済産業研究所(RIETI)が共催する「経済における女性の活躍に関するセミナー」が5日、都内で開かれた=写真。
基調講演として、JILPTの周燕飛研究員が「育児期女性の職業中断」、RIETIの児玉直美コンサルティングフェローが「ダイバーシティとワークライフバランスの効果研究」、ESRIの麻田千穂子総括政策研究官が「夫婦の出生力の低下要因に関する分析」と題して、各研究所が実施した調査結果を報告しながら、問題提起した。
周氏は、育児期に仕事中断を余儀なくされる女性が多い原因を分析。児玉氏は、女性活用と企業業績の関連を解説。麻田氏は、夫婦の出生意欲と出産・育児の負担感の相関について披露するなど、多角的、実証的な報告が相次いだ。
日本企業で女性が活躍できないのは、長時間労働などの日本的慣行や、男女の役割分担意識の強さなどが背景にあり、企業側の意識改革が容易に進まない要因になっている点で、ほぼ意見が一致した。
後半のパネルディスカッションでは樋口美雄慶応大教授、武石恵美子法政大教授、濱口桂一郎JILPT統括研究員も加わり、3氏が冒頭に短く問題提起をした後、活発な議論が展開された。問題の所在はかなり明確になったが、この日は実際に活用のカギを握る企業担当者らの発表はなく、研究者らによる“論点整理”の色合いの濃いセミナーとなった。