使用者側委員
労働政策審議会の第203回労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)は17日、労働者派遣法の再改正について12回目となる会合を開き、厚生労働省が取りまとめた報告書案について議論した。昨年示された公益委員案を基本とした内容に労働者側委員から異論が相次ぎ、この日は合意に至らなかったが、労使ともに最終局面を念頭に入れた総括的な主張を展開。鎌田部会長は「主要部分では労使の歩み寄りがあり、これまでの議論の中で論点は収れんされてきた」と強調した。厚労省は今月末には最終報告の建議(答申)にこぎ着け、改正法案の作成に入る。
労働者側委員
報告書案では冒頭、「労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価する」と明記したうえで、派遣制度の簡素化、派遣労働者のキャリアアップ措置などと同時に、正社員の常用代替防止も盛り込み、派遣労働を「臨時的・一時的な働き方」と位置づけた。
公益委員
そのうえで、(1)政令26業務と自由化業務などの業務区分の廃止、(2)派遣労働者の就労期間の上限を3年に限定、(3)派遣先の受け入れ期間の上限を3年に限定、(4)特定派遣事業を一般派遣事業と同様に、届け出制から許可制に一本化――などを現行法からみた主要な変更点とした。
ただし、(2)の場合、派遣会社は3年超の派遣労働者に対して、派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用化などの雇用安定措置を講じることとし、無期雇用の場合は上限を適用しないとした。また、(3)では派遣先企業は労働組合などの意見を聞いたうえで、同一業務の3年間の派遣継続を可能にすることも定めた。
事務局の厚労省
これらに違反した場合は、派遣先での直接雇用を義務付ける「申し込みみなし制度」を適用。また、賃金面などで派遣先社員との均衡を図るよう、派遣先に配慮義務を課し、具体的に「指針」で提示するとした。改正法の施行は来年4月1日を目指す。
この案に対して、労働者側委員からは…
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