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2013年10月23日

「ミドル層の人材活用」をテーマに労働移動の支援と役割など深掘り  JHR主催のシンポジウム

n131023.jpg 人材サービス産業協議会(JHR、中村恒一理事長)は23日、東京都内で「雇用改革時代における人材活用のこれから~経営課題解決に有効なミドルのチカラをいかにして活用するか~」と題するシンポジウムを開いた=写真右。JHRが昨年の発足時から研究・検討してきた主要テーマのひとつで、人事の専門家による基調講演や厚生労働省と経済産業省の幹部職員による行政施策説明などのほか、ミドル層を生かす事例紹介を兼ねたパネルディスカッションを展開。全国から集まった約250人の参加者が、おおむね40歳から55歳とされる「ミドル層」の採用と活用のあり方、加えて人材サービス産業が果たすべき社会的ニーズと役割を考えた。

 冒頭のあいさつを兼ねて、中村理事長が同協議会の紹介と最近の中途採用の傾向に触れ、「求人企業にとって、あるいは転職者にとって、どんなメリットや意義があり、一方でデメリットがあるのかを改めて明確にしないとスムーズなマッチングはできない。今後さらに求められ、注目度が増すキャリアチェンジについて、皆さんのミドル層の採用、活用の一助にしてもらいたい」と呼び掛けた。

 シンポジウムの皮切りとして、学習院大学教授の今野浩一郎氏が「求められる人材活用のパラダイムシフト」のタイトルで基調講演。労働市場の動向、変わる企業の人材ニーズについてポイントを解説したうえで、人材確保と活用のパラダイムシフトとして、「コト」から「ヒト」をみる人材評価力の強化を挙げ、「何が実現したい成果か、それを実現するためには何をしなければならないのか、つまり、どのような業務をどのように行ってほしいのかを明確にする力が求められる」と説いた。

 続いて、経産省経済産業政策局の奈須野太氏が「産業構造の転換に伴う労働移動」と題して、産業全体の職種変化や本年度から着手している「多様な『人活』支援サービス創出事業」の進捗状況などを説明。厚労省職業安定局の松原哲也氏が「労働政策にみる労働移動支援の現状と課題」と題して、性別・年齢層別入職率と転職入職率などを踏まえた行政施策とともに、既に実施している優良な民間人材ビジネス事業者の育成促進事業や来年度実施見込みの事業などを紹介した。

 また、前半の締めくくりとして、同協議会の高橋広敏副理事長が今回のシンポジウムのテーマで、JHRが発足時から研究してきた「採用・就業における『年齢の壁』の克服」と「異なる産業・職業へのキャリアチェンジの支援」について、「ミドル採用における新たなフレームワークのご紹介とその可能性」として発表。「企業が持続的に成長するために、ミドルの“チカラ”は必ず生かせる」と強調した。併せて、研究成果のひとつとして作成した「ミドルマッチフレーム・ヒアリングシート」を披露した。

n131023_2.jpg 後半は、「ミドルのチカラを活かす採用・人材活用の在り方とは」を切り口に、パネルディスカッションを行い、今野氏をファシリテーターに、フードサービス業で成長を続けているサイゼリヤの組織開発室長の長岡伸氏、ナゴヤパッキング製造の経営企画室・アジア事業開発室の小寺一輝氏、リクルートキャリア社長の水谷智之氏の3人をパネラーに繰り広げた=写真左

 はじめに、ミドル層の採用の狙いや実情などについて、長岡氏と小寺氏がそれぞれの会社の特性を基にして事例紹介し、採用と採用後の活用について踏み込んだ討論を展開。今野氏の切り盛りもあって、表層をなでた課題や有効性にとどまらず、本質的な“領域”での討論となった。

 

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