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2013年5月31日

「静態的」から「拡張的」需給調整機能を 人材協総会で、今野教授が講演

n130531_2.jpg 日本人材紹介事業協会(佐々木和行会長)は31日、東京都港区で2013年度定時社員総会を開き、12年度の事業報告と決算、13年度の事業予定と予算などを承認した。

 佐々木会長はあいさつで「安倍内閣の発足で円安・株高が進み、好景気のムードが高まって来ているが、人材紹介事業の足元にはまだ及んでいない。今後、6~8月の夏場の実体経済の動きに注目していきたい」と強調した。

 また、同会長は懇親会のあいさつで、政府の規制改革会議などで人材紹介事業の許可制の撤廃や求職者からも手数料を徴収できるなど、いくつかの規制緩和策が議論されている点について、「本当に実現可能なのかどうか、ニーズが合っているのか、議論の方向性を注視している」とも述べた。

 これに対して、来賓の厚生労働省需給調整事業課の富田望課長は、「求職者の保護がしっかり担保できるのかどうか、利用者の利便性が向上するのかどうか、マッチング機能が本当に強化されるのか。この3点は紹介事業者にとっても求職者にとっても極めて当たり前の視点であり、その観点から(規制改革会議などの)提言をきちんと判断、議論していく必要がある」と、厚労省の基本認識と姿勢を明確に示した。

 総会の後、人材協も加盟している人材サービス産業協議会(JHR)から高橋広敏副理事長が、12年度の活動報告と13年度の活動計画について報告し、「TOKYO就活スタイル」への参加や「全国人材サービス産業経営者会議2013」の開催など、積極参画を要請した。

 このほか、学習院大学経済学部の今野浩一郎教授による講演「人材協に期待すること」もあった。今野教授は、職業紹介機関の社会的な役割として、従来は求職者と求人企業の単純なマッチングに終始してきた「静態的」で広がりに欠けていた点を指摘。これからは求職者、求人企業の双方が能力を広げる「拡張的」「開発型」のより高度な需給調整機能を担うことが求められる、と人事の専門家ならではの切り口で講演した。

 


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