7月から任意団体として始動している、人材サービス関連4団体による「人材サービス産業協議会」は7日、東京都内で会合を開き、理事長に中村恒一氏(リクルート相談役)、副理事長に高橋広敏氏(インテリジェンス社長)を選出した。昨年12月に協議会設立準備委員会を設け、掲げたテーマごとに分科会の中で精力的に調査・研究や活動計画を詰めてきた。10月にも一般社団法人として名実ともに動きを活発化させる方針だ。
4団体は現時点で全国求人情報協会、日本人材紹介事業協会、日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会。求人広告、労働者派遣、請負、人材紹介などの人材サービス産業が「共通のテーブル」を持つのは意義深く、昨年11月の記者会見で4団体は「複雑性を増す労働市場に対峙し、より多くの就業機会を生み出すことに努める」との共同宣言を発表している。社会への発信力の強化も狙いのひとつだ。同協議会によると、今後も志を同じくする協会・団体の参画に対して門戸を閉ざさないという。
一方で、課題もある。4団体の事業内容はそれぞれ少しずつ違っており、これまでも「大同団結」または継続的な「共同行動」が実現できていなかったのも事実。その経緯を踏まえると、手を取り合って「人材募集、派遣、紹介、請負といった各分野を通じた雇用創造とキャリア形成に資する」という設立の軸を、行政や国政、社会へ周知し、認知してもらうことは容易でない。協議会の運営とけん引には、参画した各団体が「与えられた役割分担を果たすだけ」との意識にとどまらず、強力なパワーとエネルギーを傾注することが不可欠と言える。
今回は、広義で人材ビジネス産業としてとらえ、その有形無形の壁(ハードル)を乗り越えて成果を生む新機軸へ挑むだけに、期待が大きい。その意味では、同協議会が「調査・研究機能」と「横断的な連絡会的集まり」として、「提言するだけの存在」では物足りない。労働現場の実態と現実を熟知し、あるいは各分野で特化した専門性を有するプロの“顔ぶれ”だけに、同協議会の設立の大義を重んじ、目指している「産学官の連携」を含む将来を見据えた同協議会の深化と、社会的役割に向けて実効性ある活動と展開をできるかどうかが問われる。 (報道局長・大野博司)
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