電機連合総合研究企画室(電機総研=岡本昌史室長)は18日、東京港区の電機連合会館で「研究成果ワークショップ」を開いた。昨年まとめた「電機産業の製造現場におけるアウトソーシングの実態調査報告」の発表が行われたほか、それを踏まえた同連合と、調査に全面協力した日本生産技能労務協会(技能協)のそれぞれの取り組みが紹介された。出席者は、冷静な分析を基に派遣・請負の真の課題を共有し、その解消に労使で協力していく必要性を確認した。同ワークショップは1月25日に大阪でも開かれる。
冒頭、電機連合の野中孝泰副中央執行委員長が「政労使が知恵を出し合って50年、100年先を見据えた手立てを打たなければない。日本の大きなテーマに労使が協調できるよう努力したい」と力を込めた。
続いて、今回の研究調査の主査を務めた職業能力開発総合大学校の大木栄一准教授=写真=が調査結果を報告。この中で、リーマン・ショック直後の「派遣切り」問題について「マスコミは影の部分だけに焦点をあて、それを誇張しすぎたのではないか。人材ビジネス業界は、働く場の確保や維持のために懸命に努力していたケースが今回の調査で見えてきた」と述べた。
労使の取り組み紹介では、電機連合から斉藤千秋電機総研事務局長ら3人、技能協から青木秀登理事ら2人が報告。斉藤事務局長らは派遣労働者らの労働組合の組織化を促したうえで、「『派遣労働者はともに働くパートナー』という基本理念を再確認し、そのために不可欠な条件改善に労組として会社に政治に働きかけていきたい」と強調。「実態として、派遣・請負を担う人材ビジネス企業と労働者なくして日本の電機産業の将来展望は開けない」などと主張した。
技能協の青木理事らは、昨年4月に技能協と連合で派遣・請負事業の適正・健全な運営の促進について「共同宣言」を締結したことや、技能協として製造の請負や派遣で働く人たちが安心して働けるために自発的にまとめた「CSR宣言」などを紹介。「先進的な活動にまい進する電機連合のみなさまと課題克服のために力を合わせていきたい」と共同歩調を呼びかけた。