外国人労働者への依存が高まっている。厚生労働省が発表した2024年10月末現在の「外国人雇用状況」(届け出)によると、外国人労働者数は230万2587人(前年比12.4%増)で、届け出が義務化された07年以降で最多を更新した=グラフ。20年の新型コロナ襲来時の2年間は微増に留まっていたが、22年は5%台に増加。その後、23年と今回調査の24年は2年連続で二けた台の大きな伸びとなっている。「技能実習」に代わる「育成就労」の施行が27年に迫るなか、外国人との共生社会に向けた環境整備が急務となっている。(報道局)
届け出制度は07年10月に義務化され、すべての事業主は企業規模にかかわらず、外国人労働者の雇い入れと離職の際に、労働者の氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークに届け出ることになっている。届け出を怠ったり、虚偽の申請を行ったりした場合は30万円以下の罰金の対象となる。
厚労省によると、08年10月末の外国人労働者は約49万人だったので、この16年間で約180万人増えた。法務省が半年ごとに公表している在留外国人数は、直近で約359万人(昨年6月末時点)なので、在留者全体の64%が何らかの形で就労している格好だ。
外国人雇用の足元の特徴をみると、雇用している事業所が34万2087カ所(前年比7.3%増)で過去最多になっていることが挙げられる。国別では、ベトナムが最多の57万708人(全体の24.8%)、中国が40万8805人(同17.8%)、フィリピンが24万5565人(同10.7%)で、上位3国だけで全体の53%を占める。20年の調査でベトナムが中国を抜き去り、中国が微減する中でさらにその差を広げている。増加率が高い上位3国は、ミャンマーが11万4618人(同61.0%増)、インドネシアが16万9539人(同39.5%増)、スリランカが3万9136人(同33.7%増)。
在留資格別では「専門的・技術的分野」が最多の71万8812人で、全体の31%を占める。次いで、「身分に基づく在留資格」(永住者、日本人の配偶者など)が62万9117人、「技能実習」が47万725人と続く。産業別の割合は「製造業」が最も多く、全体の26%を占める。「サービス」が15%、「卸売業・小売業」が13%、「宿泊業・飲食サービス業」が12%で拮抗している。
「育成就労」、監理支援機関の許可基準など運用方針を策定
技能実習制度は1993年に導入され、あらゆる分野の産業で活用されてきた。実態として労働力確保に利用され、国際社会から人道的な批判もあった技能実習制度を廃止し、外国人材の「確保と育成」を目的とする「育成就労制度」を新設する。27年の施行に向けて現在、法務省と厚生労働省が所管する有識者懇談会が(1)育成就労計画の認定基準(2)転籍のあり方(3)監理支援機関の許可基準(4)送り出しのあり方(5)特定技能制度の適正化――について議論を展開している。
年内をメドに...
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