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2025年1月 5日

2025年4月施行の改正労働法、「育介法」「高齢法」「雇用保険法」

子育て世代や高齢者の「働きやすさ」と「活躍支援」

sc240819.jpg 2025年の労働法制は、子育て世代や高齢者の「働きやすさ」と「活躍支援」を主眼に置いた改正が多く、企業にとって事前の準備と対応が必要となる。少子高齢化が加速して労働人口が減少するなか、「多様で柔軟な働き方」の環境整備の一環として働く人を「守る・支える」の視点に立った改正が相次ぐ。今年4月施行となる「育児・介護休業法」と「高年齢者雇用安定法」、「雇用保険法」について、改正の要所と留意点を整理した。(報道局)

改正育児・介護休業法

 改正の骨格は(1)男女とも仕事と育児を両立できるような柔軟な働き方を実現するための措置と拡充(2)介護離職防止のための雇用環境の整備、個別周知・意向確認の義務化――の2軸。具体的には、子の看護休暇の見直しとして、対象を「小学校入学前の子」から「小学校3年生終了時」までに拡大するほか、継続雇用期間が6カ月未満の労働者も新たに対象に加える。

 残業免除の対象も広がり、「3歳未満の子」を養育する労働者から「小学校就学前の子」を養育する労働者へと拡大。いずれも義務化で、就業規則の変更を伴う。また、従業員数1000人以上の企業に義務化されていた「育児休業取得状況の公表」を従業員数300人以上に見直す。

 介護休業や介護両立支援制度の関係では、 個別の周知と意向確認が義務付けられ、介護をしなければならなくなったと申し出た労働者に対して個別に面談等を行い、介護休業制度等についての説明と制度利用の確認を行う必要がある。加えて、介護に直面する前の早い時期(おおむね40歳)に、個別に面談をして介護休業制度について情報提供をしなければならない。

 子の看護休暇の改正については、対象拡大だけでなく、取得理由も幅広くなっていることが特徴で、施行後は休暇を申請する社員が増えてくることが予想される。現在、1日単位で取得を認めている企業が大半だが、柔軟性を高めるため、今後は半日単位や時間単位での取得を認める企業が増えそうだ。

改正高年齢者雇用安定法

 経過措置が終わり、65歳までの雇用確保が義務化される。定年年齢を65歳未満に定めている企業は、(1)65歳までの定年の引上げ(2)希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度の導入(3) 定年の廃止――のいずれかの措置を講じる必要がある。65歳までの継続雇用については、対象者を限定しても良いとする経過措置が認められていたが、この経過措置は2025年3月31日に終了して、4月1日からは希望する従業員全員に対して65歳までの雇用機会の確保が義務化される。

 ただし、この継続雇用に関しては、対象者はあくまでも希望者となるので全員を雇用する義務は生じない。また、以前から継続雇用の対象者を限定していなかった企業 は改正の影響を受けないことになる。

 一方、「雇用確保」を巡っては、2021年4月から企業に対して 「70歳までの定年延長または他社への再就職の実現」が努力義務として施行されている。例えば(1)定年延長(2) 定年廃止(3)継続雇用制度(4)70歳まで継続的な業務委託契約(5)70歳まで継続的に社会貢献事業などに従事――のいずれかを実施する必要がある。

 (3)~(5)は、対象者を限定することもできるが、その場合、過半数労働組合や過半数代表者の同意を得ることが望ましいとされており、企業に毎年1回の提出を義務付けている報告の様式に「70歳までの就業確保措置の実施状況」 および「適用状況」の欄が追加されている。今春の改正と併せて確認しておくことが重要だ。

改正雇用保険法

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