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2024年9月29日

最低賃金「全国加重平均1500円」実現の前倒しなど掲げる、石破新総裁

総裁選総括と閣僚人事を含む今後の政治日程

sc240930.jpg 自民党は9月27日、任期満了(3年)に伴う総裁選を行い、第28代総裁に石破茂・元幹事長(68)を選出した。立候補に推薦人が必要となった1972年以降、最多の9人が出馬した事実上の次の首相を決める総裁選。石破氏は5度目の挑戦で初当選を果たした。高市早苗経済安全保障担当相(63)と争った決選投票が伯仲したこともあり、党員・党友、国会議員の間では「歓喜と落胆」が交錯した。雇用労働政策では、最低賃金「全国加重平均1500円」実現の前倒しや副業・兼業の規制見直しなどを掲げる石破氏。総裁選の総括と首班指名後の閣僚人事、今後の政治日程を整理する。(報道局)

 総裁選の結果について、自民党所属の国会議員からは「党内"政権交代"」「主流派と非主流派の逆転」「党内野党の与党奪取」など、それぞれの立ち位置から悲喜こもごもの感想が聞かれた。党員・党友票が含まれる1回目の投票で高市氏がトップに立っていたことから、国会議員票と都道府県連票での逆転劇に「石破ショック」と呼ぶ旧安倍派の大臣経験者もいた。こうしたドラマチックな展開を受けて、議員票の動きを分析・評論する報道が一斉に駆け巡ったが、一夜明けた28日からは党内・閣僚人事と総選挙をにらんだ政治日程に焦点が移っている。

解散総選挙は最短で10月27日投開票

 石破氏は、9月30日に党執行部を発足させ、10月1日召集の臨時国会で第102代首相に指名される。総裁選の討論会などでは野党との論戦を交わしたうえで「なるべく早く国民の審判を賜らねばならない」としていたが、論戦は予算委員会を指したものではなく、衆参両院の各党代表質問や党首討論で満たすと判断する公算が高い。

 その場合、10月4日に石破新首相の所信表明演説、7日と8日に衆参で各党の代表質問、野党との合意が得られれば9日に党首討論を開催して解散。最短で10月27日投開票という日程が浮上する。10月10日告示・同27日投開票の参院岩手選挙区補選や、11月5日投開票のアメリカ大統領選などの日程も加味して石破氏が最終判断する。

「2020年代に最低賃金の全国加重平均1500円を」石破氏

 石破氏が掲げる雇用労働関係の政策に「解雇規制緩和」や「労働時間上限規制の見直し」などハレーションの大きいテーマは見当たらないが、総裁選の討論会などの場では社会保障制度について「年代で差があるものの、国民の実感としては高負担・中福祉と思っている」と述べ、現役世代の負担軽減を意識した発言があった。また、今年10月から順次実施の最低賃金は全国加重平均が「1055円」と過去最高となっているが、石破氏は「2020年代に最低賃金の全国加重平均1500円を達成したい」との考えを示した。

 岸田内閣は「2030年代半ばまでに1500円」を目標としていたので、実現時期の前倒しとなるが、人件費の負担増を警戒する地方の中小企業からの抵抗感が根強く、「地方創生」「地方を守る」に軸足を置く石破氏の手腕が問われる形になりそうだ。このほか、「働く」を支援することにもつながる政策として、結婚・出産の支援の拡充なども訴えている。

党役員・閣僚人事の選定急ピッチ

 石破氏が10年近く「党内野党的立場」「非主流派」だったゆえに、党役員・閣僚人事が注目されている。特に、"人事権"を握っていた派閥がほぼ解散・解消しているだけに...


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