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2024年6月24日

総括:第213回通常国会で成立した雇用労働関係法制の要所

「雇用保険の加入対象拡大」「育成就労創設」など

sc231106.jpg 「政治とカネ」で幕を開けた第213回通常国会は、6月23日に150日間の会期を終えて閉会した。終始、劣勢に立たされた政府・与党だが、新年度予算を3月末までに成立させ、重要広範議案に指定された「育成就労創設・永住許可適正化」「子ども・子育て支援金」「セキュリティー・クリアランス創設」「食料安全保障強化」の4法案も確実に成立。この結果、政府提出の法案62本中61本が成立(成立率98.4%)となり、評価の目安となる95%をクリアした。今国会で成立した法律のうち、生活と暮らしに直結する雇用労働関係の法制を整理する。(報道局)

改正雇用保険法

 企業と働く人の双方に影響があるのは改正雇用保険法だ。5月10日に可決・成立した。パート社員らの雇用保険への加入を進めるもので、現行対象の「週20時間以上」から「同10時間以上」に拡大する。新たに500万人程度の加入が見込まれ、2028年10月にスタートさせる。4年半ほど先の運用開始となるが、会社と働く人の双方が社会保険として負担する制度であるため、パート社員を多く雇用している企業は相応の準備と計画が必要となる。

 また、自己都合退職者は従来2カ月間失業手当を受け取れなかったが、リスキリング(学び直し)をしていれば、これを1カ月に短縮。そのための給付金の給付率を受講費の最大70%から80%に引き上げる。

 一方、育児休業給付の財源確保のため、暫定的に80分の1に縮小してきた国の負担割合を8分の1に戻し、労使折半の保険料率を0.4%から原則として0.5%に引き上げることも決まった。具体的な手順などを決める政省令については、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論する。

改正育児・介護休業法

 仕事と育児を両立しやすくするため、子供の対象年齢を拡大し、企業に支援措置を義務付けるなどの大幅改正となった育児・介護休業法が5月24日に成立した。来年4月から順次施行する。

 主な改正内容は、子供が3歳から小学校就学まで、企業はテレワーク、時短勤務、時差出勤などの制度を二つ以上用意して、従業員が選べるようにする。子供が3歳未満の場合はテレワークの導入を企業の努力義務とした。また、子供が3歳になるまで申請できる現行の「残業免除」を小学校就学前までに延長。看病のための「看護休暇」も小学校就学前から小学3年生まで延長する。

 また、企業に対しては、従業員1000人超に義務付けている男性の育児休業取得率の公表を300人超に拡大し、100人超には取得率の数値目標の設定を義務付けた。家族の介護については、社員が介護保険料の支払いが始まる40歳になる際、介護休業などの制度について情報を提供することを義務付け、テレワーク導入も努力義務化した。

改正子ども・子育て支援法

 児童手当の拡充をはじめとする少子化対策の強化や、その財源確保に向けた「支援金制度」の創設を盛り込んだ改正子ども・子育て支援法が、6月4日に成立した。審議の過程では財源論の是非などをめぐって野党が激しく追及。支援金の効果を検証し、適切に見直しを実施することを求める付帯決議を衆参両院で可決した。

 ポイントの多い改正法で...


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