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2024年4月22日

「子育て支援金」、今国会で成立へ

財源問題で与野党の対立激化

 「子育て支援金」を中心にした子ども・子育て支援法などの改正案が19日、衆議院で可決され、参議院に送られた。政府が「少子化対策の切り札」と位置付ける改正法案だが、財源を巡る野党の反対で「政争の具」になりかけており、すんなりスタートできるか先行き不透明な状態だ。(報道局)

sc240422.png 国内の少子化の流れは止まらない。2016年に出生数が初めて100万人を割り込んだまま減少が続き、23年は過去最低の75万人台まで減った。合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)も18年までは1.4台を維持していたが、19年に1.36へ落ちてからは毎年下がり続け、23年は1.20の過去最低が予想されている=グラフ

 政府はこれまでさまざまな対策を講じてきたが、どれも小出しで統一性がなく、少子化に歯止めがかからないまま現在に至っている。この反省に立って今回打ち出した「こども未来戦略〜加速化プラン3.6兆円」は、24年度から3年間に集中的に実施する包括政策で、(1)若い世代の所得向上に向けた取り組み=主に2025年度から(2)全てのこども・子育て世帯を対象とする支援拡充=24年度から(3)共働き・共育ての推進=主に25年度から――の3本柱で構成している。

 (1)は児童手当の拡充により、親の所得制限を撤廃し、対象を従来の中学生から高校生まで延長。子ども2人目まで3歳未満は月1万5000円、3歳〜高校生は同1万円を支給し、3人目以降は同3万円に引き上げる。同時に、妊娠・出産費用の軽減、大学など教育費負担軽減も盛り込んだ。

 (2)は時間単位で通園できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設、保育士の待遇改善などによる保育所の質向上に加え、障害児・医療的ケア児の支援を強化する。

 (3)は男性の育児休業取得率目標を30年までに85%へ大幅に引き上げ、育休時の給付率の手取り10割相当に引き上げる計画だ。

 これらの予算については24年度から3年間で(1)に1.7兆円、(2)に1.3兆円、(3)に0.6兆円程度が必要で、合わせると3.6兆円になる。政府は「子ども・子育て支援金制度」の創設にあたり、こども家庭庁の下に「特別会計(こども金庫)」を設けて一元実施する考えだ。これらを完全実施すると、日本の1人あたりの家族関係支出額はOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデンの15.4%に匹敵する水準になるとアピールしている。これらの政策が軌道に乗れば、政府の描く少子化対策としてかなりの効果が期待できることは確かだ。

 これに加え、男性の育休取得の推進には育児・介護休業法の改正も必要なため、政府は改正法案を閣議決定し、4月11日から国会審議に入った。男性の育休取得率の実績公表が義務となる対象企業を従業員1000人以上から300人超に拡大するとともに、100人超企業には目標値の設定を義務付ける。また、子どもが3歳になるまでテレワーク就労できることを努力義務にする内容だ。育休取得が容易にならないと支援金制度の効果が限定され、少子化の阻止にはつながらないという判断で、25年度から順次実施の予定だ。

具体策の議論は広がらず

 今回は従来の少子化対策に比べると、政府の"本気度"がかなり鮮明になっている。しかし、問題は裏付けとなる財源であり、これをめぐって国会が紛糾している。政府は「徹底した歳出改革や構造的な賃上げ・投資促進などを複数年にわたって先行する」として、岸田首相も国会答弁などで「実質的な国民負担は生じない」と繰り返してきたが、これが野党の格好の攻撃材料になっている。

 というのも、支援金の財源を税金でなく、所得に応じた公的健康保険料への上乗せという形で調達するためだ。1人あたりの負担額について、政府はこれまで「500円弱」「450円」などとあいまいな数字に終始してきた。野党の追及が強まると、年収別負担額の試算をようやく公表。「年収400万円で月550円」「年収800万円で月1100円」などという数字が明らかになると、野党は「政府の当初数字とまったく異なる」と反発をさらに強める結果になった。

 そもそも3.6兆円という巨額予算を「実質負担なし」で調達しようとする説明自体、説得力に欠ける。「増税」イメージを避けたかった政府のズルさが透けて見え、批判に拍車を掛けてしまっている。また、企業の健康保険は企業側も保険料を負担しており、負担が増えるとその分が社員の給与アップに影響を及ぼす可能性がある、との懸念も広がっている。

 今回の支援金制度などは、...

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