日本人材派遣協会が発表した2023年第3四半期(7~9月)の派遣事業統計調査によると、派遣社員の実稼働者数は平均40万8843人(前年同期比4.8%増)で、4四半期連続でリーマン・ショック前の40万人台を維持した。また、コロナ沈静化とともに復調した転職紹介も、企業の採用意欲は引き続き旺盛。日本人材紹介事業協会の2023年度上半期(23年4月~9月)実績の速報値で6万1742人(同23.1%増)と大きく伸び、過去最高を更新した。政府が掲げる「三位一体の労働市場改革」に伴い、リスキリング(学び直し)や賃上げ、円滑な労働移動を通じた良質な雇用の確保に向けた支援策が本格化するなか、活況を呈する人材サービス事業者の役割と責務は一段と大きくなっている。(報道局)
派遣の実稼働者数は、派遣協の会員企業515事業所を集計。直近の23年第3四半期を地域別にみると、最も多い南関東が22万6280人(同6.3%増)で21年第2四半期から10四半期連続のプラス。いずれも1ケタ台の伸びではあるが、コロナ禍を含め2年半にわたり堅調に推移している。近畿は6万1392人(同4.3%増)、東海が3万5947人(同7.8%増)など、全10地域のうち6地域がプラスとなった。一方で、東北や中国、四国、九州の4地域が0.4~8.1%のマイナスとなり、地方で鈍化傾向にあることがうかがえる。
業務別は、最多の一般事務が20万607人(同4.4%増)、財務が1万2317人(同11.8%増)、製造は1万2267人(同3.6%増)、軽作業が1万1743人(同3.1%増)など、営業の3805人(同3.3%減)と機器操作の4万5664人(同1.4%減)を除く7業務で伸びた。短期派遣(30日以内)は、7万4510人(同4.8%減)で3四半期ぶりにマイナスに転じた。
転職紹介6万1742人、前年同期比23.1%増
転職紹介実績の調査に協力しているのは、人材協会員のジェイ エイ シー リクルートメント、パーソルキャリア、リクルートの3社。コロナ禍の影響で20年度上半期にリーマン・ショック以来の前年同期比マイナスに転じたものの、1年半後の21年度下半期から復調して勢いを増している。
最新となる23年度上半期の公表データをみると、転職紹介実績は6万1742人(同23.1%増)。対象の6業界(首都圏)のうち、コロナ禍の影響をモロに受けた「コンシューマー(飲食、旅行、サービスなど)」は1万2388人(同20.1%増)と伸びた。「建設・不動産」が4178人(同33.5%増)、「金融」は3100人(同31.0%増)、「電機・機械・化学等製造」も8698人(同25.5%増)で勢いをキープ。また、「IT・通信」が8669人(同14.4%増)、「メディカル」が3088人(同13.3%増)とすべての業種で増加した。
地域別では、「首都圏」が4万141人(同21.4%増)、「北海道・東北エリア」が1550人(同38.4%増)、「九州エリア」が1694人(同31.6%増)、「関西圏」は1万1054人(同27.9%増)、「中部圏」は5909人(同22.4%増)、「中国・四国エリア」が1391人(同14.4%増)と6エリアすべてで大きく伸びた。
派遣時給1680円前後で一服も、上昇基調変わらず
堅調な派遣と攻勢を増す転職市場だが、人手不足のなかで賃金はどのように推移しているのか。エン・ジャパンが...
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