外国人技能実習制度を廃止し、人材の育成と確保を目的とする新制度創設に向けた検討が大詰めを迎えている。政府の有識者会議は今春、現行制度の廃止と実態に即した新制度創設を盛り込んだ中間報告書を公表、人権上の批判も挙がる実習制度の再構築に乗り出した。それから約半年の間、同会議は新制度と特定技能との連動性を意識しながら「9つの論点」を挙げ、議論を掘り下げてきた。最終報告書の取りまとめを前に、議論の流れを整理して今後の展開を探る。(報道局)
政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(田中明彦座長)は、法務省の所管で昨年12月14日に設置された。監理団体や受け入れ企業となる実習実施者、各種業界団体、共生支援のグループ、当事者である技能実習生、労働組合など、あらゆる関係者からの声を聞き取り、1993年にスタートした「技能実習制度」と2019年に新設された「特定技能」のあるべき姿を検討してきた。
今春の中間報告書では、技能実習制度の廃止に伴う新制度のあり方として、(1)目的=人材育成を維持しつつ、人材確保を加える(2)職種=職種は特定技能の分野にそろえる(3)受け入れ見込み人数=関係者の意見やエビデンスを踏まえてプロセスを透明化(4)転職(転籍)=限定的に残しつつ、現行よりも緩和(5)監理団体・登録支援機関=存続した上で要件を厳格化して、監理・支援能力を向上(6)日本語能力=就労開始前の日本語能力の担保と来日後の段階的向上に向けた仕組みを整備――など実態に即した弾力的な方向性を示した。
中間報告を公表した後、同会議は論点を再整理。(1)新制度と特定技能の位置付けと両制度の関係性(2)人材育成機能や職種・分野のあり方(3)受け入れ見込み数の設定のあり方(4)転籍のあり方(5)監理・支援・保護のあり方(6)特定技能の適正化と方策(7)国・自治体の役割(8)送り出し機関と送り出しのあり方(9)日本語能力の向上方策――の「9つの論点」について、新制度移行のための経過措置も含めて議論を重ねてきた。これらの検討内容の要所をまとめると...
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