スペシャルコンテンツ記事一覧へ

2023年6月 5日

派遣実稼働者数はリーマン・ショック前の高水準、転職紹介も過去最高

「新しい資本主義」の加速で労働市場は活発化

 日本人材派遣協会が発表した2023年第1四半期(1~3月)の派遣事業統計調査によると、派遣社員の実稼働者数は平均41万1877人(前年同期比7.8%増)で、08年のリーマン・ショック前の水準に戻した=グラフ・上。また、コロナ禍の影響を受けた転職紹介も企業の採用意欲の高まりで反転攻勢。日本人材紹介事業協会の2022年度下半期(22年10月~23年3月)の速報値で5万2559人(同22.4%増)と大きく上昇し、コロナ禍前を上回る過去最高を記録した=グラフ・下。政府が「新しい資本主義」の実現を掲げ、働く人のスキルアップ支援と賃金上昇を伴う労働移動の円滑化を加速させる中、労働市場はさらに活発化する流れにある。(報道局)

 派遣の実稼働者数は、派遣協の会員企業515事業所を集計。直近の23年第1四半期を地域別にみると、最も多い南関東が22万5376人(同7.5%増)で21年第2四半期から8期連続でプラスを維持している。近畿は6万2428人(同7.2%増)、東海が3万6073人(同10.1%増)など、全10地域のすべてで5.2%~15.1%のプラスとなった。

sc230605.png

 業務別は、最多の一般事務が20万3666人(同8.5%増)、貿易が1万5687人(同8.8%増)、盛り返してきた製造は1万1814人(同6.0%増)、軽作業が1万1282人(同4.5%増)など、営業の3915人(同1.0%減)を除き全業務で伸びた。短期派遣(30日以内)は、8万4099人(同1.4%増)で堅調に推移している。コロナ禍で雇用不安がささやかれた派遣業界だが、政府の支援策に加え、人材サービス企業と派遣先企業の努力で回避し、現在では統計開始以来の高水準をうかがう状態にある。

転職紹介人数5万2559人、前年同期比22.4%増で過去最高

 転職紹介実績の調査に協力しているのは、人材協会員のジェイ エイ シー リクルートメント、パーソルキャリア、リクルートの3社。コロナ禍の影響が出始めた20年度上半期にリーマン・ショック以来の前年同期比マイナスを記録したが、1年半後の21年度下半期から復調の兆しが表れていた。

 最新となる22年度下半期の数値をみると、対象の6業界(首都圏)のうち、コロナ禍の影響が大きかった「コンシューマー(飲食、旅行、サービスなど)」は1万524人(同19.8%増)と伸びた。「電機・機械・化学等製造」も7588人(同33.6%増)で勢いを継続。また、「建設・不動産」が3409人(同27.0%増)、「IT・通信」が7801人(同19.6%増)、「メディカル」が2741人(同10.4%増)、「金融」も2594人(同29.5%増)とすべてで増加した。

sc230605_2.png

 地域別では、「首都圏」が3万4691人(同23.1%増)、「北海道・東北エリア」が1314人(同38.2%増)、「九州エリア」が1235人(同11.4%増)、「関西圏」は9221人(同26.6%増)、「中部圏」は4979人(同12.8%増)、「中国・四国エリア」が1118人(同9.9%増)と全エリアで伸びた。

 求職者の転職時の年齢は、「25歳以下」、「26~30歳」、「31~35歳」、「36~40歳」、「41歳以上」のすべての年齢層で軒並み2割から3割前後の増加幅となった。人数で最も多かったのは「26~30歳」の1万7415人(同19.1%増)、次いで「25歳以下」の1万1183人(同19.4%増)、「31~35歳」の1万53人(同25.4%増)、「41歳以上」の7824人(同25.6%増)、「36~40歳」の6084人(同29.1%増)と続いた。

派遣時給は上昇基調、8カ月連続で前年同月比プラス

 あらゆる産業と分野で人手不足が加速し...


※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。


【関連記事】
厚労省の2023年度主要施策、「新しい資本主義」の実現を軸に展開
本丸は「人への投資」、6月の「骨太の方針」も注目(5月15日)

リスキリングへの助成拡大など
雇用・均等分科会が了承(2022年11月25日)

PAGETOP