人材ビジネスの主要企業の2022年度決算がほぼ出そろった。21年度はメーカーやサービス業界を中心にした業績回復の波が業界にも波及し、「コロナ前」にこぎつける企業が続出した。22年度もこの流れがさらに加速し、大幅増収にこぎつけた企業が多かったものの、人手不足を背景にした人件費の増加や人材獲得競争などで減益となった企業も相次ぎ、23年度に課題を残している。(報道局)
業界最大手のリクルートホールディングス(HD)は売上高(売上収益)が19.4%増と2期連続で20%前後の伸びを続けたが、米国労働市場の減速を受けた求人検索サイト「インディード」の人員削減や、人材派遣部門などのソフト減損などが重なったため、営業利益は9.1%減となった。主要経営指標の調整後EBITDA(営業利益+減価償却費±調整項目)は5450億4300万円の6.5%増だった。
パーソルグループも人材派遣が堅調だったのと、企業の中途採用増を反映した紹介事業の伸びを反映して売上高が15.4%増、営業利益が10.2%増と2年連続の二ケタ増となった。国内外子会社の減損処理などで、最終利益は減少した。23年度から国際会計基準(IFRS)に移行するが、参考値のEBITDAは764億1700万円(前期比13.8%増)、調整後EBITDAは752億円(同6.1%増)。
ヒューマンHDは派遣・教育事業の回復により、売上高は過去最高を更新。一方で、派遣・介護などの人件費増加やエネルギー関連費の増加などで減益が続いた。理学系派遣のWDBHDは主要顧客の医薬、化学、食品などの企業、研究所、大学研究室などの底堅い需要で増収を維持したが、派遣スタッフの人件費増などで減益となった。
昨年来の国内外の経済回復に伴い、企業の人材需要が高まる一方、人手不足も本格化している。総務省の労働力調査では、22年度は正社員数が3600万人前後の横ばいで推移しているのに対して、非正規社員は一貫して増加傾向をたどっており、今年3月時点では2101万人(前年同期比23万人増)。その中心はパートタイマーで1031万人(同23万人増)だが、派遣社員も163万人(同21万人増)に増えており、今年は人材争奪戦がさらに激化しそうだ。
メーカーの業績回復で、技術系・製造系も軒並み2ケタ増
事務系だけでなく、技術系や製造派遣・請負系企業も業績は好調だ。「正社員技術者」のメイテックの売上高は11.1%増と2年連続で2ケタ増を記録。メーカーの技術開発投資は活発で、エンジニア需要が高まっている。このため、期末のエンジニア数はメイテックが7703人...
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