人材サービスには人材派遣、製造請負、職業紹介、求人メディアなどが存在し、厚生労働省は分野ごとに事業者の「優良認定制度」を設けている。基準を満たした事業者を審査・認定する制度で、いずれも働く人や求人企業にとって事業者選びの有効な判断材料になり得る。民間人材ビジネスの育成と業界全体の質の向上と活性化を狙い、厚労省が2010年度から事業化した認定制度。現在、5つの分野で実施されている制度の現状や課題などを探る。(報道局)
「優良認定制度」には、2010年度にスタートした(1)製造請負優良適正事業者を皮切りに、14年度開始の(2)優良派遣事業者(3)職業紹介優良事業者。そして、22年度に始まった(4)医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者(5)優良募集情報等提供事業者――が存在。厚労省が委託事業として実施し、受託したそれぞれの運営機関・団体が当該分野に適した審査項目や認定基準を定めて展開している。
このうち、22年度に新設された「医療・介護・保育」の紹介事業者に絞った認定制度は、人材不足が特に顕著であることなどを理由に(3)の職業紹介全体から切り分け、採用後の早期離職や紹介手数料の額といった諸課題に対応する方策として誕生。直近においても、「あっせんした転職者に繰り返し転職を勧める事業者が散見され、紹介手数料の高騰と早期離職が止まらない」などの苦情があり、政府の規制改革推進会議のワーキンググループが事業者の質の向上と適正な競争の促進ついて厚労省と認識を共有している。認定制度は法律による規制とは別のアプローチで、こうした状況を防止する効果が期待できる。
また、求人メディアなどを対象とする優良募集情報等提供事業者は、22年10月施行の改正職業安定法に合わせてスタートした。改正法によって職安法上の求人メディアの対象が大幅に広がり、それに伴い届け出制も導入された。事業類型は、求人情報を求人企業などから依頼されて提供している事業者(1号)、求人情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者(2号)。さらに、求職者情報を求職者などから依頼されて提供している事業者(3号)、求職者情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者(4号)――となっており、初年度の認定は従来から職安法上の範囲だった「1号」のみで実施した。本年度以降は新たに範囲に加えた「2~4号」も認定事業者の対象とする考えだ。
4月21日に行われた労働政策審議会労の労働力需給制度部会=写真=では、優良募集情報等提供事業者の「優良認定制度」が議題となり、...
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