任期満了に伴い自治体の首長と議員を改選する4年に一度の統一地方選挙(統一選)が23日から始まる。20回目となる今回の統一率は、全国の自治体のうちの27.4%(3月20日現在)。「名ばかり統一」と指摘されて久しいものの、そろえるための特段の手立てがないのが実情だ。前半戦は4月の9日と23日に投開票を迎える統一選の特徴に加え、国政政党に一定の影響を与える衆参補欠選挙の行方を探った。(報道局)
知事選は9道県、政令市長選は6市
統一選は、3月23日に告示される9道県の知事選を皮切りにスタートする。選挙区分によって告示日が異なるため有権者には紛らわしいが、投開票日は4月の第2・第4日曜日の「2回」に整理されている。今回で言えば、4月9日と23日が投開票日で、「前半戦」「後半戦」との表現を用いることが多い。
総務省によると、まず、4月9日投開票の選挙は、①知事選(告示日3月23日)、②政令市長選(同26日)、③道府県議選・政令市議選(同3月31日)となっている。知事選は北海道、神奈川、福井、奈良、大阪、鳥取、島根、徳島、大分の計9道県。政令市長選は札幌、相模原、静岡、浜松、大阪、広島の計6市。県議選は41道府県、政令市議選は17市で執行される。
次に、4月26日投開票の選挙は、①政令市以外の市長選・市議選、東京都の区長選・区議選(告示日4月16日)、②町村長選、町村議選(同4月18日)となっている。市長選は83自治体、市議選が294自治体で、区長選は11区、区議選が20区。町村長選は120自治体、町村議選が372自治体で改選される。このほか、統一選とは別ものだが、公職選挙法に基づき、衆参で3月15日までに新たに欠員が生じた場合の補欠選挙も行われ、その投票日は後半戦と一緒の4月23日に設定されている。
統一選の目的は?注目度は健在
統一選は終戦後の新憲法施行を前に全国一斉に地方選を施行したのが始まりだ。選挙にかかる自治体の事務コストの抑制や、選挙への関心を高めることに効果があるとして、総務省はできるだけ選挙日程を合わせたい意向がある。しかし、政治は予期せぬことが起こるもので、それぞれの知事、市町村長、議会議員の間でスキャンダルによる任期途中の辞任、当該市町村を揺るがす問題による議会解散、戦後3度にわたる市町村合併の流れなどが約80年の間に各地で起こり、今や4分の3の自治体が統一選以外の日程で単独選挙を実施している。任期4年という原則があるため、一度日程がズレると"軌道修正"は難しく、気づけば「名ばかり統一選」と指摘される状況が続いている。
統一率の変遷をみてみると、第1回は100%だったが、昭和の大合併を経て3回目の1955年の統一選は46・35%。平成の大合併や2011年の東日本大震災で被災地の選挙が延期されたことを受けた同年以降の統一率は27%台が続いている。
知事選の与野党激突は北海道のみ、奈良と徳島は保守分裂
今回の統一選の特徴をみていくと、41の道府県議会議員に立候補を予定しているのは3000人余りで、前回(2019年)と変わらない。9つの道府県知事には計30人が立候補を予定している。注目度の高い知事選で与野党が全面的対決する構図となっているのは北海道のみで、奈良と徳島は「保守分裂」の激戦となる見通しだ。
奈良では日本維新の会の独自候補や共産党の推薦候補も加わる模様で、中央政界を巻き込んだ激しい選挙戦が予想されている。このほか、...
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