労働人口の減少に歯止めがかからない日本において、コロナ禍にあっても外国人労働者への依存は変わっていない。厚生労働省が発表した2022年10月末現在の「外国人雇用状況」(届け出)によると、外国人労働者数は182万2725人(前年比5.3%増)で、届け出が義務化された07年以降で過去最高を更新した。20年に襲来した新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2年間は横ばいの微増に留まっていたが、水際対策が段階的に緩和されたことを受けて再び前年比で5%を超える増加に転じた。21年に初めて減少した「技能実習」は2年連続で減少した。(報道局)
届け出制度は07年10月に義務化され、すべての事業主は企業規模にかかわらず、外国人労働者の雇い入れと離職の際に、労働者の氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークに届け出ることになっている。届け出を怠ったり、虚偽の申請を行ったりした場合は30万円以下の罰金の対象となる。
厚労省によると、08年10月末の外国人労働者は約49万人で、この14年間で約130万人増えた。法務省が半年ごとに公表している在留外国人数は、直近で約296万人(昨年6月末時点)なので、在留者全体の6割が何らかの形で就労している格好だ。
コロナ禍による入国制限は、国内のあらゆる産業に著しい影響を及ぼしたが、政府は22年に段階的な制限緩和に踏み切り、昨春以降はその流れを加速させた。現在の外国人労働者を巡る特徴としては、まず、外国人を雇用している事業所が過去最高の29万8790カ所にのぼった。このうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所数は1万9290所、その事業所で就労する外国人労働者数は 35万383人で、それぞれ事業所数全体の6.5%、外国人労働者数全体の19.2%を占めている。
国別では、ベトナムが最多の46万2384人、中国が38万5848人で、両国だけで全体の半数近くを占める。20年の調査でベトナムが中国を抜き去り、中国が微減する中でさらにその差を広げている。製造業や介護分野などでの就労が多いのも特徴だ。3番目はフィリピンの20万6050人、4番目はブラジルの13万5167人と続く。5番目のネパールは11万8196人で初めて10万人の大台を突破した。このほか、まだ10万人に届かないが、インドネシアの7万7889人が台頭している。
在留資格別では「身分に基づく在留資格」(永住者、日本人の配偶者など)が最多の59万5207人、全体の32.7%で最多。次いで、「専門的・技術的分野」が47万9949人、「技能実習」が34万3254人、「留学などの資格外活動」が33万910人と続く。近年の変化として、留学生が在留資格を「専門的・技術的分野」の中の「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に変更するケースが多く、日本国内でそのまま就職している。
コロナ禍の特徴としては、昨年減少に転じた「技能実習」がさらに2.4%減少して2年連続で減った。ただ、19年4月に創設した「特定技能」に移行するケースが定着してきており、「単純な減少ではなく移行によるもの」との見方が支配的だ。 産業別の割合は、「卸売業、小売業」が18.6%、「製造業」が17.7%と拮抗。次いで、「宿泊業、飲食サービス業」が14.4%となっている。
「技能実習」のあり方、今春に中間整理、秋に政府方針固め
技能実習制度は1993年に導入され、あらゆる分野の産業で活用されてきた。この間、入国管理法や労働関係法令の違反が絶えず、国内外から人権上の批判も挙がる一方で、時代に合わせた対象職種の拡大や実習期間の延長を求める要望が相次ぐ。「問題の解消」と...
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