約3年におよぶコロナ禍。概ね4カ月タームで襲来する感染拡大の波は変わらないが、日本国内でも極端な行動制限は緩和され、ウィズ・コロナ社会が生活の中に広がっている。政府はインバウンドを含む観光需要などの活性化で、長きにわたり停滞した経済を復活させたい考えだ。その登竜門となる2023年。国内の政治経済、雇用労働の動きをつかみながら、主なスケジュールを整理してみる。(報道局)
政治:衆院解散は?、4月に第20回統一地方選挙
昨年8月に発足した岸田政権の第2次改造内閣は、すでに4人の大臣が事実上の更迭で交代する事態に陥り、求心力が低下している。本来であれば、政権浮揚策として再度の改造内閣か、伝家の宝刀である衆院解散が選択肢となるが、現時点で岸田首相は年内解散を視野に入れていない模様だ。その場合、与党内の不満分子がこれから沸点に達すると、岸田首相の地元で開催される「G7(先進7カ国)広島サミット」が花道論となり、通常国会閉会後に退陣、自民党から新たな首相誕生という可能性もある。岸田首相にとって今年前半は正念場の年となりそうだ。
衆院と参院のいわゆる大型選挙がない中で注目されるのは、4年に1度の統一地方選挙だ。戦後にスタートした仕組みで、今回で第20回。投票日の日程は、道府県と政令指定都市の首長、議会議員選挙が4月9日、政令市以外の市区町村の首長と議会議員選挙が同23日となる。国政と地方政治は別という受け止めもあるものの、いつも与野党の優勢・劣勢を反映した風が吹くため、国会議員が地元の地方議員の応援に駆け回る"一大イベント"となる。
一方で、現在の「統一率」は約25%で、全国の地方自治体の3割を切っている。制度が始まって70年余りの間に、市町村合併や震災、任期途中の辞任、出直し選など、それぞれの自治体事情によってズレが生じ、「統一率」は回を重ねるごとに減少傾向。仕方のない流れではあるが、「統一」との呼び名に限界も感じられる。統一地方選以外に注目される選挙として、2月に愛知県知事選、8月に埼玉県知事選が実施される。
経済:4月に黒田日銀総裁の任期満了、回復軌道を歩むか日本経済
2023年の日本経済は回復軌道をキープしそうだ。昨年10月に閣議決定した政府の総合経済対策が概ね奏功すると予想した場合、政府見通し(実質ベース)の概要は民間消費が2.2%、設備投資が5.0%伸びる。今年はウィズ・コロナによる行動制限の緩和が本格化し、外国人のインバウンド需要を含む内外の個人消費が活発になり、企業もコロナ期間中に控えていた設備投資を本格化させるためだ。前提となる消費者物価(CPI)は1.7%、完全失業率は2.4%とみている。
こうした流れを踏まえて、今年最大の注目点は労働賃金の上昇率だ。日本経済は長年にわたって物価と賃金がほとんど上がらない低成長が続いており、昨今の物価上昇が追い打ちをかけて個人消費の動きが鈍い。官民挙げて「賃金アップ」の機運が高まっているが、基本給ベースで大幅アップに踏み切る企業がどこまであるかは未知数だ。
経済に影響のある前半の動きとしては、...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。