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2022年11月21日

人材ビジネス、業績回復軌道に乗る

課題は人材の高度化、9月中間決算

 人材ビジネス会社の2022年9月(第1、2四半期累計)連結中間決算が出そろった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なインフレや、夏場のコロナ第7波の爆発的拡大にもかかわらず、内外の景気回復と人材需要の増加基調に変化はなく、業績を伸ばす企業が相次いでいる。(報道局)

 関連統計で見る限り、人材需要の回復傾向が鮮明だ。日本人材派遣協会によると、2022年の第1四半期(1~3月)の派遣社員実稼働数は38万2000人(前年同期比8.7%増)、第2四半期(4~6月)も38万4000人(同7.6%増)となり、コロナ前の20年第1四半期の37万人2000人を上回った。

 転職についても回復傾向は著しく、日本人材紹介事業協会によると、21年度下半期(10~22年3月)の大手3社の転職紹介実績は約4万3000人(同42.9%増)となり、コロナ前の19年度上半期の4万2000人を上回る過去最高を記録した。パーソル系のdodaが毎月公表している転職求人倍率でも、22年度上半期は2倍を超える倍率に上昇しており、企業の求人数の増加が顕著になっている。

sc221121.png こうした人材需要の回復を背景に、業界の業績もおおむね回復傾向が鮮明に表れている。事務系業界最大手のリクルートは売上高が前年同期比26.0%増、パーソルも同14.4%増と二ケタの伸びとなった。技術系もメイテックが同14.0%増、製造請負・派遣系では日総工産も同17.6%増など、軒並み二ケタ増を記録した=表

 決算期の異なるアウトソーシング(12月期決算)も1~6月期の売上高が3251億円(同22.9%増)となった。テクノプロ(6月期決算)は4~6月期が470億円(同14.4%増)、7~9月期も482億円(同15.8%増)と二ケタ増を維持。ワールドインテックを擁するワールドホールディングス(12月期決算)も1~6月期は862億円(同32.5%増)と大きく伸ばしている。

 派遣以上に急回復しているのが求人メディアと人材紹介で、ディップは同35.2%増、エン・ジャパンも同29.4%増と3割の伸び。パーソルも紹介の「キャリア」部門が490億円(同40.4%増)、リクルートも「インディード」の好調などで「HRテクノロジー」部門が5843億円(同46.5%増)と大きく伸び、コロナ前まで回復したのは確実だ。

 売り上げについては総じて大幅増収がみられる一方、利益面についてはバラつきがみられた。これは「スタッフ確保に向けた求人費の増加」(ヒューマンホールディングス)、「自動車関連の半導体不足など、部品不足による稼働減」(日総工産)、「広告宣伝・販売促進費、業務委託費などの先行投資」(エン・ジャパン)など、個別企業の戦略にかかわる部分が多く、下半期に"調整"して通年ベースでは減益幅を縮小するか、増益転換するとみられる。

官民挙げてIT、DXなどの人材育成へ

 上半期の順調な業績を下半期も維持し、一層の上昇を狙うカギになるのは「人材の高度化」だ。バブル崩壊後の長期デフレによって、日本企業全体の生産性は大きくダウンし...


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