職業安定法上の募集情報等提供事業者(求人メディア)の対象を大幅に広げ、「届け出制」を導入する改正職安法が10月1日にスタートした。AIやITなどの急速な進化に伴い、多種多様な「雇用仲介サービス」が求人企業と求職者の間に広がる中、サービス内容の実態把握と職業紹介事業との「境界整理」を進めて利用者の保護を図る。玉石混交のプレーヤーが存在する求人メディア業界。サービスを競い合う事業者間、そして活用する求人・求職者の視点に立った新たな「労働市場整備」が動き出す。(報道局)
「雇用仲介サービス」には、職安法に位置づけられた職業紹介(許可事業)や既存の求人メディア以外にも、求人情報を集約化するアグリゲーターや人材データベース、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど、伝統的なイメージを超える多様なサービスが次々と誕生している。入職経路として活用が急速に拡大しており、こうした「新形態サービス」の実態把握は的確な雇用政策を打ち出すうえで見過ごすことのできない状況にあった。
とりわけ、需給調整機能の一翼を担いながら急拡大する「新形態サービス」においては、職安法や労働基準法、労働者派遣法を把握した従来の人材サービス企業とは異なる分野から新規参入してくるケースも目立ち、現行の法律やルールでカバーできていない部分が散見された。今回の改正職安法で重要なのは、現場を管理監督する規制強化一辺倒ではなく、「マッチング機会を生み出す新たなイノベーションを阻害しない」という観点が改正議論の土台に据えられていたことだ。最終的に仕上がった改正職安法がその基軸を貫けたかはいささか疑問も残るが、「新形態サービス」の存在を前向きに認知したうえで、事業者が依拠すべきルールを明確化している。
「的確表示・苦情処理・個人情報保護」&「違反処分」
求人メディア等のマッチング機能の質の向上――。改正法の最大の狙いはここにある。事業者向けの法令解説の中で厚生労働省は「求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中、就職・転職の主要なツールとなっている求人メディア等について、幅広く求人情報・求職者情報を提供する事業を法的に位置づける」と明記。「職業安定機関との相互の協力の対象に含めるとともに、安心してサービスを利用できる環境とするため、求人メディア等が依拠すべきルールを明確にする」と謳っている。
この考え方と方針を実現すべく、「3つの義務」を改正法の中に落とし込んだ。厚労省の資料とアドバンスニュースの取材を総合してひもとくと...
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