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2022年8月 1日

満足度高い「高プロ制度」

生産性向上のヒントに?

 「働き方改革」の一環として2019年に導入された「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」について、厚生労働省はこのほど実施状況の報告書を公表した。それによると、高プロで働いている人の圧倒的多数が「創造的な働き方」や「成果と働きがい」を感じていることがわかった。(報道局)

 調査は今年1~2月に実施し、高プロで働いている労働者572人のうち254人から有効回答を得た。回答者はコンサルタントを中心に男性が8割、年代は30代が半数近くを占めた。9割近くが無期雇用で、一般社員が50%、課長級が22%。1カ月平均の「健康管理時間」(労働時間)は「200時間~300時間未満」という企業が22事業所のうち14事業所で最も多かった。同省の毎月勤労統計調査によると、正社員が中心の「一般労働者」の実労働時間は月150時間が平均だから、それに比べるとかなり多いとみられる。

 給与形態は年俸制が8割余で、直近の年収(税引き前)は「1075万円以上~1500万円未満」が55%、「1500万円以上~2000万円未満」が26%、「2000万円以上」が16%で、正社員の平均年収である約515万円(国税庁、20年)よりかなり高い。高プロ適用後の年収は適用前に比べて「上がった」が59%、「同じ」が37%、「下がった」が4%余となっている。

 肝心な働き方に対する認識では、「時間にとらわれず、自由で柔軟に働ける」、「自分の能力を発揮して成果を出しやすい」、「賃金などの処遇に見合った働き方だ」に8割以上が「当てはまる」と肯定的に回答。一方、「業務量が過大」は6割近く、「働いている時間が長い」には7割近くが「当てはまる」と答えている。

sc220801.png そして、これらを総合した働き方全体については、「自由で創造的な働き方ができている」と思っている人が84%=グラフ、「現在の働き方は成果や働きがいにつながっている」と思っている人も82%と圧倒的多数を占めた。高プロ制度は労働基準法で定められた労働時間や休日・深夜労働の割り増し賃金などの規定の適用外となる制度で、対象職種はファンドマネジャー、証券アナリスト、コンサルタントなど5職種。年収1075万円以上という、厳しい具体的な規制が設けられている。

 この制度は第1次安倍内閣当時、産業界の希望で「ホワイトカラーエグゼンプション」として導入が図られたが、過重労働を懸念した労組側が「残業代ゼロ制度」などと反発したため頓挫。しかし、産業側の強い要請で15年に「高度プロフェッショナル制度」に衣替えして提案されたが、審議未了で廃案になった。第4次安倍内閣の18年に「働き方改革関連法」の一環として再提案されて成立、19年から施行された。成立経過をみるといわくつきの制度であり、安倍内閣の"置き土産"でもあった。

 労働側の反発は、労基法の枠外の働き方では労働時間の歯止めがなくなり、過労によって健康に害を及ぼすという懸念が根底にあったため。このため、導入にあたっては職種、年収、労使合意などに厳格な要件を課したが、これが「アリの一穴」とならないよう、現在も"監視"の目を光らせている。

 今回の調査結果をみると...

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