参議院議員選挙が22日公示された。投開票は7月10日。今回は急上昇中の消費者物価対策や、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにした防衛問題を主要政策に掲げる政党が多く、労働分野はそれほど注目されていない印象が強い。主要政党の労働関連公約を点検した。(報道局)
自民党は「人材への投資を大胆に進める」というキャッチフレーズで、「学び直しを通じたキャリアアップ」「大学と企業の共同講座を支援」「兼業・副業・起業の促進」などを掲げ、「成長に貢献する高度専門人材の育成に向け、大学・高専などの再編促進や機能強化を進めるための基金設置」を公約とした。
現政権の「新しい資本主義」実現の一環として、すでに昨年暮れ、「3年間で4000億円」を投じる政策パッケージを発表している。多くの日本企業は「社内人材の育成」に手が回らなくなり、DX分野など企業間の枠を超えた「ジョブ型人材」の育成が必要になっている。このため、狙いとしては妥当だが、政策順位は「外交・安全保障」を優先しており、注目はもっぱら政権政党としての実現性に絞られる。
その点、公明党は「経済の成長と雇用・所得の拡大」をトップに掲げ、「人への投資」を強調しており、自民との"棲み分け"を狙っているようにみえる。社会人のリスキリングやリカレント教育、賃上げや教育訓練などの「人への投資」について企業を支援する姿勢を打ち出している。同時に、大企業については教育訓練の投資額、男女間の賃金格差などの公表を求めている。ただ、政策目標が6項目に及び、総花的の印象は免れない。
これに対して、野党の公約には長期的視点が欠けている内容が多い。立憲民主党の場合、「生活安全保障」をキャッチフレーズにしているが、「雇用・年金・ベーシックサービス」は4番目。「雇用の安定」として「時給1500円目標」「同一労働同一賃金」「フリーランス保護」などを打ち出しているものの、従来の「無期・直接・フルタイム」を基本原則とする方針にまったく変化はなく、時代にマッチしない側面もみえる。
ただ、「研究開発力の抜本強化」として、「研究開発費を今後10年間で大幅に引き上げる」「安定雇用により高度な技能を持つ人材を育成し、自社内の技術開発に努める企業を支援する」といった人材育成に関する部分は注目される。
日本維新の会は「維新八策2022」の中で、労働移動時のセーフティーネットを確実に構築した上で、解雇ルールの明確化をうたっている。そのうえで、解雇紛争の金銭解決を可能にするなど労働契約の終了に関する規制改革を行い、労働市場の流動化・活性化を促進するとしている。労組などが猛反発している「解雇の金銭解決」に触れて正面から向き合う姿勢を示しているが、優先順位は5番目と高くはない。
国民民主党は「給料を上げる。国を守る。」をキャッチフレーズに、政策5本柱を打ち出したが、...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。