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2022年3月28日

パワハラ防止法と女活法の適用拡大、育介法の順次施行など

新年度から変わる雇用労働に関する法令

sc220101_3.png 4月の新年度から、大企業で施行済の「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法)が中小企業にも適用されるほか、行動計画の策定・公表を義務付けた女性活躍推進法(女活法)の対象企業が広がる。また、男性の育児休業取得を促す育児・介護休業法(育介法)も順次施行されるなど、「働き方」に関する法改正や新しい制度が目白押しだ。企業の人事・労務・法務にとって対応や準備が必要な法律の要所と留意点を整理する。(報道局)

 本年度は、人材の流動化を促す中途採用比率の公表義務化(労働施策総合推進法)や70歳までの就業機会確保(高年齢者雇用安定法)、いわゆる「同一労働同一賃金」関連の全面施行など、コロナ禍の中で企業は対応に追われたが、2022年の新年度も「働き方改革」を源流とする法改正が相次ぐ。

パワハラ防止法、中小企業にも適用

 2020年6月に大企業に義務付けられた「パワハラ防止法」が、4月から中小企業にも適用される。パワーハラスメントは、「職場における優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害される行為」と定義している。

 パワハラ指針ではタイプ別に「6類型」を示し、(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)(5)過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)――と整理。これらのうち、職場で問題になりやすいのは「精神的な攻撃」「個の侵害」と言われており、パワハラ防止の対応は、企業規模や業種業態を問わず、社内で理解を深めておく必要がある。

 就業場所以外でも業務を遂行する場所を「職場」と位置付けており、社内だけが職場ではない。対象者は正社員やパート・アルバイト、契約社員など、企業が雇用する働く人たち全員で、当然ながら派遣社員も受け入れ企業が雇用する人と同じ対応となる。企業側に相談窓口の設置や再発防止対策を求めており、行政の勧告に従わなかったときは企業名が公表される。

女性活躍推進法、対象の企業規模を拡大

 2016年に施行された女性活躍推進法を改正して、さらなる環境整備を進める。企業の取り組みを示す行動計画の策定・公表の義務などについて、従来の従業員301人以上から101人以上に範囲を広げる。

(1)女性に対する採用、昇進の機会の積極的な提供と活用、性別による固定的役割分担を反映した職場慣行が及ぼす影響に配慮する(2)職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にする(3)女性の職業生活と家庭生活との両立について、本人の意思を尊重する――の3つの基本原則を掲げている。

 101人以上の企業に義務付けられるのは、行動計画の策定・届け出で、具体的には、「自社の女性活躍に関する状況の把握・課題分析」「企業による行動計画の策定、社内周知、外部公表」「企業の行動計画を策定した旨を都道府県労働局に届け出」で、これらの取り組みの実施と効果の測定も必須だ。

 ポイントは(1)採用者に占める女性比率(2)勤続年数の男女差(3)管理職に占める女性比率を分析して、男性が優位になっていないか、男女差に開きはないか、圧倒的に男性が占めていないかを分析して、改善策を講ずることが求められる。

 また、採用者に占める女性の割合や男女別の採用の競争倍率、...

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