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2021年11月22日

企業業績持ち直しを反映、9月中間決算

人材ビジネス、回復基調鮮明に

 人材ビジネス会社の2021年9月(第2四半期)連結中間決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染が急拡大した春に第4波、夏に最大の第5波が押し寄せたにもかかわらず、海外の需要回復や国内のコロナ対応の改善などが奏功し、企業の人材ニーズが再び伸びてきたことから、業績回復にこぎつける企業が相次いでいる。(報道局)

 事務系、技術系とも、大手は売上高、営業利益とも二桁増と伸び、1年前の落ち込みから回復した企業が目立った。事務系最大手のリクルートの場合、最大売り上げ部門の人材派遣(国内)では4~6月期の派遣スタッフ数が1年前を下回っていたが、7~9月期になると上回るようになった。その結果、売上高も4~6月期の前年同期比0.8%増から7~9月期は同4.9%増に伸びた。国内以上に伸びたのが海外で、欧米の人材派遣やインディードを擁するHRテクノロジーの好調が収益を大きく押し上げた。

sc211122.png パーソルの場合も傾向はほぼ同じで、派遣稼働者数は4~6月期の同1.7%減から7~9月期には同4%の増加に転じ、利益率の高い官公庁請負のBPO業務もコロナワクチン接種業務が増えたことなどから増収増益に。派遣分野の売上高は4~6月期の同5.5%増から7~9月期は9.2%増になった。すでにコロナ前の水準を上回り、通期でも「売上高1兆円」の大台達成に近づいている。

 日本人材派遣協会によると、協会加盟派遣元約500社の派遣労働者の平均実稼働者数はコロナ禍で昨年は落ち込んだものの、昨年7~9月期を底に徐々に戻っている。今年4~6月期は同0.6%増と増加に転じ、7~9月期は同7.6%増。9月の稼働者数は37万人を超え、コロナ前の水準に戻った。業界大手の稼働者数が増加に転じたことで、下半期は全体の増加ペースも加速すると予想される。

 厚生労働省はコロナ対策として、雇用調整助成金の支給要件の大幅緩和を軸に、経団連や派遣協などに雇用の維持を度々要請したが、これがかなり奏功したようだ。総務省の労働力調査によると、20年の非正規従業員数は約2090万人で1年前より75万人減少したが、その多くは企業に直接雇用されていたパート・アルバイトの約1473万人(46万人減)によるもので、派遣社員は約138万人(3万人減)にとどまった。

 人材派遣に比べると、人材紹介は昨年、軒並み大幅な業績悪化に見舞われた。多くの企業が中途採用を見合わせたうえ、主力分野のサービス、飲食などの業界がコロナで営業自粛に追い込まれたためだ。転職希望者もコロナ下で活動を控える傾向がみられた。

 今年に入ってようやく回復し始め、リクルートの人材部門は同10%増、パーソルも同17.6%増。エン・ジャパンの国内求人サイトの売上高は同34.6%増となった。しかし、全国求人情報協会によると、広告掲載件数は昨年の大幅ダウンから回復軌道に乗ってはいるものの、直近の8、9月は90万件台。ピーク時の160万件には遠く及ばず、年度後半のコロナ収束と消費回復に期待を寄せている。

 一方、メーカーの影響を受ける製造請負・派遣は中国、北米などの海外市場の立ち直りにより、...


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