2022年度の政府予算案編成で、厚生労働省の概算要求額が過去最大となった。9月7日に公表した財務省の資料によると、一般会計の要求総額は過去最高の111兆6559億円にのぼり、8年連続で100兆円を超えた。省庁別で最大の厚労省は全体の約3分の1にあたる33兆9450億円。製造業は業績を回復しているものの、宿泊や飲食サービス業界など「対面型サービス企業」で雇用不安が続く中、厚労省は「ポストコロナに向けた『成長と雇用の好循環』の実現」を政策の柱に据える方針だ。来年度の雇用・労働における各種施策を点検する。(報道局)
厚労省は22年度の概算要求で、「成長と雇用の好循環」を前面に掲げ、(1)雇用維持・労働移動・人材育成(2)多様な人材の活躍促進(3)働きやすい職場づくり――を3本柱として推し進める。9月22日に開催した労働政策審議会の本体会議で=写真・上、厚労省幹部は公益、労働者側、使用者側の委員に「人手不足分野への労働移動の推進」「良質なテレワークの導入促進」をキーワードに概算要求の重点項目を説明した=写真・下。
(1)の施策としては「雇用の維持・在籍型出向の取り組みへの支援」「女性・非正規雇用労働者へのマッチングやステップアップ支援、新規学卒者等への就職支援」「デジタル化の推進、人手不足分野への労働移動の推進」――の3項目。(2)では「女性活躍・男性の育休取得促進」「就職氷河期世代の活躍支援」「高齢者の就労・社会参加の促進」「障害者の就労促進、外国人の支援」――の4項目。(3)は「良質なテレワークの導入促進」「最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など公正な待遇の確保」「総合的なハラスメント対策の推進」――の3項目を掲げている。
本年度と類似する項目もあるが、中身を検証すると、コロナ沈静化後のポストコロナを意識した「雇用の守りと攻め」の施策が際立つ。人材サービス産業とのかかわりを念頭に3本柱の施策を掘り下げてみる。
雇用維持・労働移動・人材育成
「守り」の施策となる「雇用の維持・在籍型出向の取り組みへの支援」では...
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