首都圏に2回目の「緊急事態宣言」発令中の1月18日、150日間の会期で召集された今年の通常国会。新型コロナウイルスの対応に明け暮れた国会も、6月16日の会期末まで残り1カ月を切った。「緊急事態宣言」に伴うさまざまな"自粛強制"で生活や経済、雇用に深刻な影響が1年以上も続いているが、政府の対応不備を騒ぎ立てるばかりで、与野党からは大幅な議員歳費削減案や大胆な定数削減案など、有事ゆえに踏み切れる身を切る改革の一声も聞こえてこない。それどころか、平時と変わらぬ終盤国会特有の駆け引きが繰り広げられている。国会閉会後の政治日程の行方などを押さえたうえで、会期末をにらんだ衆参の注目すべき委員会の動きを探った。(報道局)
外国人の収容や送還ルールを見直す出入国管理法など、一部の法案を除いて、政府は順調に各委員会審議を進め、閣議決定した政府提出法案を成立させている。与野党の対決法案をできるだけ避け、法案を戦後5番目に少ない63本前後に絞り込んで臨んだ手法も、現在までのところ奏功している。ただ、残り1カ月を切ったこの先は、野党が政府・与党に攻勢をかけ、委員会の中断や流会などが繰り広げられる公算が高い。
7月4日投開票の都議選、続く東京オリパラ、秋?の衆院選
終盤国会の動向を探る前に、国会閉会後の政治日程を押さえておきたい。まず、任期満了に伴う東京都議選(定数127)が6月25日告示、7月4日投開票で確定している。小池百合子知事が特別顧問を務める最大会派の地域政党「都民ファーストの会」と、前回2017年に惨敗した自民党などが議席を争う。議会運営では、都民ファと公明党の「小池支持勢力」を合わせて過半数を維持できるかが注目される。
東京都議選は、一般的な地方議会選挙とは異なり、国政政党が本腰を入れて挑むだけに、6月16日に会期末を迎える国会は延長しないとの見方が支配的だ。法案処理の影響で3日前後の延長は否定できないが、その後の東京五輪なども考慮すると大幅延長は現実的ではなく、今国会に限っては政府・与党は「延長カード」を持ち合わせていない格好だ。
東京五輪・パラリンピックは7月23日開幕。パラリンピックは8月24日の開幕が予定されている。開催都市の東京都が中止に踏み切る可能性も囁(ささや)かれるが、開催国の政府は開会式などを含めてフルスペックでの開催はすでに見送り、「どのような条件と環境で実施できるか」に舵を切っている。
その条件面では、これまでに海外一般客の観戦断念、競技場の観戦人数の制限、選手の随行スタッフや報道陣などの入国自粛要請などを段階的に打ち出している。開催には国内の反発も強まっているが、政府は東京五輪の成果を規模感や派手な演出にとらわれず、「感染防止に徹して開催できた手本」「コロナ克服に立ち向かう世界へのメッセージ」を組み込んだ「レガシー五輪」に昇華させたい考え。ただ、変異株の猛威と政府のワクチン接種対応など不確定要素が多く、予断を許さない状況が続いている。
衆院議員の任期が10月21日に満了となる。9月の自民党総裁選の「前か後か」を巡って自民党内の動きが活発化する。この9月を見据えて、「今国会の会期末をどのように閉じるか」を慎重に見極めている党幹部と、政府・与党に揺さぶりをかけたい野党の攻防が激化する見通しだ。春の大型連休前の3回目の「緊急事態宣言」が発令される前は、国会担当記者の間で東京都議選との「同日選」も有力視されていたが、現時点でその読みは"沈静化"している。
看護師派遣を巡る内閣府の問題など、強まる野党攻勢
政治日程を踏まえたうえで、終盤国会の情勢、主な委員会審議の動向を見わたすと...
※こちらの記事の全文は、有料会員限定の配信とさせていただいております。有料会員への入会をご検討の方は、右上の「会員限定メールサービス(triangle)」のバナーをクリックしていただき、まずはサンプルをご請求ください。「triangle」は法人向けのサービスです。
【関連記事】
看護師派遣「へき地」から「全国」に拡大へ、ワクチン接種の人材確保
期間と場所限定の特例措置、労働者側は警戒も(4月19日)